「家にいよう」でGDPの単純比較ができない理由

経済対策の考え方もこれまでとは異なるべき

東京・丸の内も閑散(写真:ロイター/Issei Kato)

日本の1~3月期のGDP(国内総生産)は1次速報が5月18日に公表されるが、大幅マイナスとなる見込みで、4~6月期もさらにマイナス幅が拡大するのは避けられない。各国政府・中央銀行は、GDPの大幅な落ち込みを防ぐことに必死だ。

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とは言うものの、GDPの数字にとらわれすぎると、今われわれが直面している問題の本質を見失ってしまうおそれもある。GDPという経済指標は、なかなか意味を理解するのが難しいものであり、少し冷静になって見る必要がある。

GDPは幸福度や生活水準の指標ではない。GDPが捉えているのは、基本的には市場で売買され取引されている財やサービスの生産額だ。

外食が家庭内の食事になり、無償労働が増えた

新型コロナウイルス感染に対応した緊急事態宣言で繁華街の飲食店は営業を自粛していたり、人々の外出自粛により客足が減少したりして、売り上げが激減している。外食産業の生産の減少はGDPの減少として現れるが、人々は今までどおりに食事をとっている。GDPにカウントされる外食産業のサービスが、GDPには計上されない家庭内での調理に置き換えられるためにGDPは大きく落ち込むが、人々の食の水準はこれまでと大きくは変わらないとみてよい。

感染予防のために「3つの密」が重なるところを避けるために、キャバレーやナイトクラブ、バーなどは休業の要請が行われている。これらの酒場で提供されているサービスが、そのまま家庭内で提供されているわけではないが、自宅で晩酌をしている人もいるだろうし、LineやZoomを使ったオンライン飲み会もはやっている。お店の高額なお酒は、家庭の単価の低いお酒に置き換わっているかもしれないが、アルコールの消費はそれなりに行われており、蒸発して消えてなくなったわけではない。

GDPが社会で行われている生産活動をすべて網羅しているわけではないことは、これまでもしばしば問題とされてきた。市場を介さずに行われる無償労働は、国民経済計算体系(SNA)でも「生産」であると認められている。しかしインフレやデフレ、経済の不均衡といった問題には関係が薄いために、統計として作成するGDPには含めないという取り扱いが行われてきた。

このため、多くの国では無償労働の貨幣評価額を推計してGDPと比較するという試みが行われてきており、日本でも内閣府が何度か推計を公表している。

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