タレントアナリティクスで人事を考え直そう アナリティクス全盛時代の人材マネジメント(中)

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 (2)「点」ではなく、「パターン」を見つける

自社のITや営業を強化するための人材を探そうと、高いスキルを持つ人材を中途採用をしたが、チームの中でうまくなじまず、思ったような結果につながらなかったことはないだろうか?

多くの企業が、「人材可視化=スキルの可視化」ととらえて、資格やスキルに寄った人材評価を進めようとしているのが実態だと思う。

だが、業務で結果を出すために必要なパフォーマンスファクターは、スキルやコンピテンシー以外にも、資質、経験、志向、モチベーションなどの多面的な要素を組み合わせる必要がある。

タレントアナリティクスではこれらの複合的な要素を組み合わせた成功の「パターン」を見つけ、結果につながる人材を見極めている。

 

 

■ゲームを通じた優秀人材の採用見極め(Knack社)
 シリコンバレーのスタートアップ企業であるKnack社では、採用候補者が同社で活躍できる人材かどうかを見極めるため、求める人材にマッチしているかということを学歴ではなく、ゲームを通じて確認している。
 たとえば「ワサビ・ウェイター」というゲームでは、寿司店のウエーター役になって客の注文を取り顧客の細かなニーズに応じて最適だと思う応対を選ぶ。相手の要望をくみ取り、対応方法を即座に選択・判断する流れを通じて、採用候補者の資質や行動特性を把握し、同社の求める人材のパターンに合うかどうかを見極め、採用の判断に役立てている。

 

社員一人ひとりをパフォーマンスファクターに分解すると、一時的に人事の扱う情報量は何倍にも増える。組み合わせになるとさらにその量は何乗にもなる。 多くの場合、可視化という名の膨大な人材情報に人事部門が埋もれてしまい、明確な採用・育成・配置・評価のための意思決定材料としては活用されず、ただデータが陳腐化していくケースをよく見てきた。

そういう企業では結局、誰もが認める高いスキルを持った優秀な人材(スーパージェネラリスト)を評価することになり、ローテーション人事を繰り返して自社の独自性や強みを失ってしまう。

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