コロナが直撃!「ベンチャー投資バブル」の行方 リーマンショック時の「投資家淘汰」が再燃

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「ベンチャー企業はふるいにかけられる時期になった。経営者の資質が問われるようになる」

グローバルブレインの百合本社長はそう指摘する。百合本氏は2019年から不景気になることを見越し、投資先に対して不況に備えるよう警鐘を鳴らしてきたという。「リーマンショックは金融危機だったが、今回は全産業に影響が及んでいる。一層谷が深くなる可能性がある」(同)。

GMOベンチャーパートナーズと組んで、ベンチャー企業に経営面の助言を提供するマネーフォワード・シンカの金坂直哉社長は、「決まっていた資金調達がなくなり、VCだけでなく、事業会社の投資がなくなったという話も聞く。平時とは違って“Cash is king(現金こそ王様)“だ。会社を筋肉質にするいいタイミングだと思う」と話す。

できれば18カ月分の資金確保を

ベンチャー企業の資金繰りに関してDCMベンチャーズの本多氏は、「とにかくランウェイを確保することが重要だ」と指摘する。ランウェイとは、売り上げが立たなくとも、手持ちの現預金で事業を回せる期間のことだ。「ランウェイは最低12カ月分、理想は18カ月分確保する必要がある。資金調達は準備から着金まで最低半年かかる。18カ月分の資金があれば、1年はお金を気にせずに事業に専念できる」(本多氏)。

GMOの宮坂氏は今回、投資の基準を見直し、不況でも生き残れる経営者かどうか、コストを厳格に管理できるかなど、10項目を新たに設定。投資する事業内容としては、「(IT系の中でも)生産性やデジタル化率が低い領域に目を付けているかどうかが大きなテーマだ。皆の生活になくてはならないものであるべき。“なくてもいいよね”では意味がない」(宮坂氏)。

景気が安定し、多くの大企業でカネ余りが顕著となっていたこの数年、ベンチャー企業に投資マネーが流れ込んだ。その裏では「バブルになっている」との声も少なくなかった。コロナショックという大逆風の中で、ベンチャー企業も投資家も、その実力が厳しく問われることになりそうだ。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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