直談判事件で、自分の評価を落とすはめに……
私にも、つねに「はぁ?」な上司はおりました。血気盛んな若い頃、その上司の上長に「あの人には戦略も戦術もない。やってられない。私とあの人とどちらを選ぶのか。私にやらせろ!」と直談判したことがあります。今、考えると穴があったらブラジルまでいきたいくらい恥ずかしい、若気の至り発言。すると逆に「お前はそういうことを言うからダメなんだ。おれはお前を選ばない」とハッキリ言われたのです。
そのときはただ「がーん」という感じで余計腹を立てていましたが、今となっては感謝しています。人のできないところをピックアップして批判するだけなら、こんな簡単なことはありません。それだけでは、「それで?」となってしまいます。「文句言い」は評価も評判も落とすだけ。私はこの直談判事件でかえって自分の評価を下げ、その後、挽回するのにずいぶん苦労する羽目に陥りました。
もし、あなたもかつての私と同じように、上司のことを面白おかしく、あるいは憎しみをもって、酒のさかなやランチのおかずにしていたら、すぐにその輪からフェイドアウトしましょう。上司という生き物は、実は意外と人を見る目が備わっていることが多いですから、あなたたちが悪く言ったり笑いものにしたりしていることを、察知している可能性が高いのです。最低限、それはしていないことがチャンスを生かす前提になります。
完全フェイドアウトがいちばん望ましいのですが、輪にいる同僚からどう思われるか心配ならば、内容を上司の「いじりネタ」に変更してみてください。笑えるネタを“愛情を持って”共有するのなら、陰口にはなりません。「可愛いとこ、あるよねー」と添えるだけで意味合いがまったく変わってきます。ただし、自分からの発言はミニマムに。
次にすることは、なるたけフラットに上司の業務・仕事を把握することです。自分たちの知らない仕事を案外していたり、持っていない人脈があったりして発見があるはずです。把握したら、「へー」と感心する。「こんな仕事、しているんだな」でいいのです。観察しているだけでは把握できないこともありますので、できればごはんに誘ったりして、「今の時期は何がいちばんお忙しいんですか?」「どんなことがいちばん大変なんですか?」などと、素直に聞いてみるといいと思います。
これ、上司の立場からいうと、とてもうれしくなっていろいろ話してしまうパターン。誰だって興味を持たれるというのはうれしいものですから。そうそう、爆発して文句を言ったときのことも、さりげなく詫びておくとステキですね。「〇〇さんがどんなことでお忙しくされているのか知りもしないであんなこと言って……すみません」と言えばかわいい!
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