内部留保多い日本企業はコロナ恐慌に耐えるか 手元流動性あっても油断大敵、カギは現預金だ

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今後、このままの状況が続けば、企業は一斉に内部留保を現金化して、賃金などの支払いに回すことが予想される。債券市場や株式市場でも大きく売られることになる。

株式市場も、日本銀行がETFを買って市場の価格を支え続けているが、今後は支えきれない状況になることが予想される。市場は、再び2番底を試す局面に陥る可能性が高いということだ。

債券市場も、売り圧力が高まると金利が徐々に上昇することになる。パンデミックの下では、人命に関わることなので財政出動に躊躇している余裕はないが、経済危機は何かのイベントが起きた後にやってくる。

短期保有有価証券が多い企業は油断大敵かも

どんなに手元流動性が豊かでも、例えば現預金が少なく短期保有有価証券や有利子負債が多いような企業は、盤石な財務状況とは言いがたい。また、有利子負債ゼロの優良企業でも、現預金が少なく、短期保有有価証券が多いような企業は、パンデミックのような状況では不透明だ。速やかに現預金を増やす動きに出るはずだ。

さらに、企業の中には極端にネットキャッシュが少ない企業もある。同じく本サイトで発表されている「手元資金に対し借り入れが多い会社」のランキングを見ると、その実態がよくわかる。列記しておくと――

<手元資金に対し借り入れが多い会社(10社)>
1位 ソフトバンク……-11兆8265億円
2位 武田薬品工業……-5兆0488億円
3位 東京電力ホールディングス……-4兆8901億円
4位 東海旅客鉄道……-4兆2062億円
5位 三井物産……-3兆8708億円
6位 三菱商事……-3兆7592億円
7位 関西電力……-3兆6728億円
8位 日本電信電話…-3兆3165億円
9位 住友不動産……-3兆1705億円
10位 東日本旅客鉄道……-3兆0107億円
(出所:東洋経済オンライン「最新版『借金が多い企業』ランキングTOP500社」2019年12月5日配信)

自動車ローンを扱っている自動車メーカー、そして金融系企業を除いたランキングだが、どの企業も有利子負債が莫大な額になっている企業ばかりと言っていい。

有利子負債が多いこと自体はそれほど大きな問題ではないのだが、やはり現預金の少ない企業は、現在のような緊急事態ではやや不安が残る。

よく言われることだが、企業倒産には「黒字倒産」という言葉があるように、資金がショートしてしまえば、倒産することになる。ソフトバンクのように、15兆6000億円もの有利子負債があるにもかかわらず、3兆8000億円の現預金しかない状況は楽観できないのかもしれない。しかも、ソフトバンクは世界中のIT関連企業に投資しているため、今後の資金調達方法には注目しておく必要があるかもしれない。

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