内部留保多い日本企業はコロナ恐慌に耐えるか

手元流動性あっても油断大敵、カギは現預金だ

<手元流動性(ネットキャッシュ)が潤沢な企業ベスト10>
1位 ソニー……1兆4351億円
2位 任天堂……1兆0829億円
3位 信越化学工業……1兆0274億円
4位 東芝……9008億円
5位 キーエンス… 8632億円
6位 SUBARU……8512億円
7位 ファナック……6221億円
8位 京セラ……6042億円
9位 ファーストリテイリング……5865億円
10位 SMC……5443億円
(出所:東洋経済オンライン「最新版!これが『金持ち企業トップ500社』だ」2019年12月4日配信)

例えば、1位ソニーの1兆4351億円のネットキャッシュの内訳は、現預金1兆4700億円、短期保有有価証券1兆3245億円。ただし有利子負債1兆3594億円はマイナス材料になる。健全性の高い企業と言われる有利子負債0円という企業も、任天堂やキーエンス、ファナックなどがランクインされている。

ただし、これらのランキングはあくまでも平時の企業財務の健全性を測る目安と言っていいのかもしれない。問題は、「短期保有有価証券」の額だ。短期保有有価証券というのは、例えば債券の場合、決算日から満期までの期間が1年以内であれば「短期保有有価証券」となり、1年超であれば「投資有価証券」となる。

短期保有有価証券を換金する動きもありえる

詳細は省くが、どちらも内部留保なのだが、問題はパンデミックのような状況下で、市場で売買されている債券や株式を内部留保に組み入れている企業だ。子会社化した企業の株式という形で保有しているケースもあるが、市場価格のある有価証券であれば、価格変動のリスクを受けることになる。

現預金で1兆4700億円もあるソニーのようなケースでは、あまり問題ないかもしれないが、現預金があまり多くなく、短期保有有価証券をたくさん持っているような企業の場合、そして有利子負債も多い企業の場合、銀行などの緊急融資では間に合わずに、短期保有有価証券を市場で換金しようと考えるはずだ。今後、緊急事態宣言が長引いた場合には多数出てくることが予想される。

そうなれば、債券市場や株式市場は、再び「売り圧力」にさらされることになる。銀行に潤沢な資金が日銀から提供されてはいるものの、想定外に集中した場合、銀行からの融資がショートするような事態は、経済的なショック時にはよくあることと言っていい。企業もとりあえず有利子負債を増やすよりも、手持ちの短期保有有価証券を市場で処分しようと考えるはずだ。

実際に、パンデミックによる緊急事態宣言が出る前から、企業や家計で現金を確保しておく動きがあると言われる。株式や債券を売却して、現金化しておくことでいつでも使えるマネーを手元に置いておきたい、という動きだ。

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