「現在の状況を戦時中と捉えよ」
新型コロナウイルスが猛威を振るうさなか、GMS(総合小売店)最大手であるイオンの岡田元也会長は、そう社内に檄を飛ばしているという。イオングループ会社のある首脳は「グループ内の危機意識は相当に高まっている」と明かす。
最悪シナリオだと営業利益は77%減
イオンは4月10日、2021年2月期の業績見通しを発表した。売上高にあたる営業収益が8兆円~8兆4000億円(前期実績8兆6042億円)、営業利益を500億円~1000億円(同2155億円)とみている。新型コロナの影響が予測不能なこともあり、営業収益と営業利益のみの開示で、しかも幅を持たせた予想となった。
決算発表直前まで、業績見通しを公表しない方向で検討が進められていた。前出のグループ会社首脳は「連結の業績予想を出したことには正直驚いた。新型コロナ影響によるダメージが測れない以上、合理的な予想の算出は不可能だ。実際、グループ傘下には予想を算出していない企業も多い」と語る。
先行き不透明な状況下にあるため、2020年度の業績見通しを公表しない上場企業が続出している。しかしイオンは、「開示できるものはしたほうがよい」(イオン広報・IR担当者)と、業界最大手としての説明責任も考慮したうえで決断した。
見通しを示したこと以上に衝撃だったのが収益の下落幅だ。2021年2月期の営業利益は最悪シナリオの場合、前期比で77%減となる。金額にして1600億円を超える額が吹き飛ぶことになる。
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