新型コロナの影響が本格化する前の2020年2月期は好調だった。営業収益は8兆6042億円(前期比1%増)、営業利益2155億円(同1.5%増)と、ともに過去最高を更新した。
セグメント別に見ると、国内外で増床・改装効果が現れた不動産、カード事業が安定推移している金融、調剤併設型の店舗が伸長したドラッグストアがそれぞれ増益となった。
不動産、金融、ドラッグが収益を牽引
衣料不振が深刻なGMS、コンビニエンスストアやドラッグストアとの競争が激しいスーパーは減益となった。GMSとスーパーが足を引っ張る反面、不動産、金融、ドラッグストアの3本柱が営業利益全体の8割近くを稼ぐという構図は、これまでと大きく変わらなかった。
ただ、2021年2月期は、ショッピングモール開発・運営といった不動産事業を営むイオンモールの一時休業が響き、3本柱の一角が欠ける可能性がある。
イオンモールが得るテナントからの賃料は、毎月固定のものと売上高に連動する売上歩合部分の2つで構成される。本来は環境の変化に大きく左右されない安定した収入のはずだ。
しかし、今回は3~4月の一時休業の間に限り、テナントからの固定賃料を徴収しない方針。売上歩合部分についても、「最低保証売上」(売上高が急減しても、最低限の歩合賃料を徴収する仕組み)を一時休業の期間に限り撤廃する。
この緊急措置は、少なくとも緊急事態宣言の期間である5月6日まで全国店舗に適用される可能性が高い。つまり、この間のイオンモールの賃料収入は、実質ゼロになる。
中国やベトナム、インドネシア、カンボジアなどのアジア地域でも、イオンモールは一時休業中。ただ、同社のIR担当者は「中国で一時休業していた店舗は再稼働しており、5月ぐらいから(テナントの売り上げが)戻ってくるのではないか。アセアン地域も外出制限を徹底しているため、戻りが早いだろう」と見る。
むしろ「読めないのは日本の先行き」(同)。収益の大黒柱である国内の動向が大きな不安要因となっていると強調する。
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