まったく先の見通しが立たない━━。決算発表をした上場企業からは不安の声が聞こえてくる。
4月9日の第2四半期決算説明会で危機感をあらわにしたファーストリテイリングの柳井正会長兼社長。「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは、通期の2020年8月期の営業利益予想を、従来予想から1000億円引き下げて1450億円とした。前提として、4~5月は新型コロナウイルス感染症の影響により大幅減収、6月以降に事業活動が徐々に正常化するものとしている。
新型コロナウイルスの感染拡大は目下、国内経済に広範囲でかつ甚大な影響を及ぼしている。3月下旬から4月中旬に発表された上場企業の決算でも、業績予想ができたのはまだいいほう。算定が困難という理由で、決算短信では今期予想の欄を「━」と表記し、「非開示」とするケースが続出している。
もちろん大幅な下方修正を強いられた企業も多い。一方で少数が、増益予想を発表する企業もあり、明暗が分かれた格好だ。
コロナ影響を織り込んでいないサイゼリヤ
低価格イタリアンファミレスのサイゼリヤも4月8日、2020年8月期の業績予想を下方修正した。第2四半期までの営業利益は、前年同期比7.8%増の37億8300万円と好調だったが、通期は一転して31.2%減益の66億円を見込んでいる。
ただし、この予想は2020年3月までの実績数値を用いており、4月以降の予想については合理的な見通しが困難なことから、新型コロナウイルス感染拡大の影響はないとの前提に立っている。下方修正のリリースにも、「現時点での状況をもとに想定すると、最悪の場合は売上及び利益は大幅に悪化することも考えられます」と記されており、さらなる下方修正の可能性が濃厚である。
それとは対照的に、驚きの増収増益予想を掲げたのが、国内家具最大手のニトリホールディングスだ。4月6日に発表した2021年2月期の業績予想は、売上高6532億円(前期比1.7%増)、営業利益1122億円(同4.4%増)。期初から新型コロナウイルス禍の影響を受ける中で、この計画を達成すれば、実に34期連続の増収増益となる。
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