"火中の栗"に常務を送り込む、東電の深謀 数土新体制が打った意味深な一手

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原電は現在、原子炉を3基保有している。ただし、敦賀原発2号機(運転26年、出力116万キロワット)は、原子炉建屋の直下に活断層があると原子力規制委員会(規制委)に認定され、廃炉の公算が高まっている。また、敦賀1号機(運転44年、出力35.7万キロワット)は「運転40年廃炉原則」の新ルールに抵触し、運転延長の例外規定適用も難しい情勢。

地元の再稼働反対論が根強い東海第二発電所(写真:ロイター/アフロ)

もう1つの東海第二発電所(運転35年、出力110万キロワット)も40年ルールが迫るうえ、地元の再稼働反対論も根強い。つまり、保有3基すべてを再稼働できない可能性が高い。

また、原電は敦賀原発の敷地内に3、4号機(出力は各153.8万キロワット)の増設を計画しており、現在、準備工事中だ(用地造成は2010年3月に完了)。だが、政府は「原発の新増設はまったく想定していない」(安倍晋三首相)としており、増設実現のメドは立っていない。

発電量ゼロでも受電各社は支払い継続

もっとも、原電は2011年5月以降、既設の原発がすべて停止しているものの、2011年度、2012年度ともに売上高が1400億円を超え、経常黒字を維持している。それは、電力販売先である東電や関電など電力5社との間で、電気の供給量にかかわらず「基本料金」の支払いを受ける契約を結んでいるからだ。この契約は原則、年度ごとに締結されるが、2013年度、2014年度を含めて基本的な契約の枠組みは今のところ見直しがなされていない。

加えて、1998年から廃炉プロセスに入っている東海発電所については、運転停止後の費用を受電会社が負担する契約を結んでいる。計画中の敦賀3、4号機についても、既存の原発と同様、供給される電力の全量を受電各社が引き受ける協定を締結済み。まさに電力業界に“おんぶに抱っこ”なのが原電の実態だ。

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