「和牛商品券」炎上の裏側で進む本当の食料懸念

撤回されるも在庫消化進まず価格高騰リスク

自民党の農林部会が和牛を中心とする国産牛肉の購入を促す商品券の発行を明らかにしたところ批判が殺到しました。写真はイメージ(写真:セーラム / PIXTA)

「和牛商品券を拒否するなんて、国民は畜産農家のことを大事に思ってないのか」――。

自民党農林族の国会議員は、こう不満をぶちまけた。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う農業分野の経済対策として、自民党農林部会は3月末、政府に対し国民の牛肉消費を促すための「和牛商品券」を提案したが、廃案に追い込まれた。

マスメディアやSNSで「国難のときに火事場泥棒的な利益誘導だ」「贅沢品を食っている場合か」「族議員の横暴だ」などの批判的なコメントが殺到したためだ。

食料品はいつまでも在庫を置けない

ただ、この議員は「特定品目だけを優遇するなという理屈はわかるが、和牛が高級品だという理由で提案したわけではない。食料品はいつまでも在庫を置いておけない特性があるため、とにかく流通させなければいけないという危機感が前提だ」と強調した。

実際、新型コロナの影響で訪日外国人観光客の減少や宴会などのキャンセルを受け、ランクの高い和牛を中心に在庫が積み上がっている。

足元の和牛など国産牛肉の在庫量は平年より5割から6割多い1万4000~1万5000トンになっているとみられ、「約半年分の在庫が積み上がっている」(牛肉流通業者)という。

在庫が積み上がると、当然和牛の販売価格は下落する。東京食肉市場の3月の和牛枝肉(A4・去勢)の加重平均価格は1キロ1857円と、2014年以来5年ぶりに2000円の大台を割っており、食肉商社や畜産農家も大打撃を受けているのだ。

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