喫煙室でタバコ吸う人があまりに危なすぎる訳 「3密」の条件が当てはまり感染拡大が懸念

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ある事業所内にある喫煙所の様子。会社の同僚同士が多いため、自然に会話が成立する環境となる(写真提供:大和浩教授)。

感染拡大が続く新型コロナウイルスだが、感染経路がわからない感染者が多くなってきている。その中で、新たに喫煙室で感染したのではないかとされる事例が出てきたので紹介したい(この記事は2020年4月9日の情報に基づいて書いている)。

新型コロナウイルスの感染拡大で懸念されているのが、クラスター(小規模の患者の集団)の発生である。クラスターが特に発生しやすいのは、「3密」(①密閉空間②密集空間③密接場面)と呼ばれる感染リスクが高い場所だ。

感染者の多い都道府県に緊急事態宣言を発令した政府は、さらなる感染拡大を防ぐため、換気が悪く人が密集する空間に行くことを避けるよう、国民に求めている。

ところが4月に改正健康増進法が全面施行されたことにより、タバコを吸える場所が少なくなった喫煙者が、喫煙室や喫煙所に集まっている。喫煙室や喫煙所に感染者がいれば、そこから感染が広がっていく危険性がある。

社内の喫煙室でコロナに感染した可能性 

そうした中で、喫煙室で感染したのではないかと推測される事例が福井県で発生した。福井県保健予防課感染症対策グループによれば、4月6日に発症が判明した県内で63例目の男性(50代)Aは、3月30日に、勤務している会社の屋内喫煙室で、4月2日に発症が判明した同僚男性(30代)Bと30分ほど仕事について会話をした。

男性Aには他に思い当たる濃厚接触者がいなかったため、同グループでは、男性Aを調査した福井市保健所の報告から、この喫煙室で感染したのではないかと見ている。男性AとBは会社の同僚だが、ともに外回りが多く社内で日常的に会話するようなことはなかった。ところが追加の調査から、喫煙室で2名の接点があったことが判明したという。

ちなみに男性Bは、4月1日に発症が判明した同じ会社の同僚男性(50代)Cと3月27日に営業車に同乗していた。この男性Cからは、4月5日に発症が判明した同じ会社の同僚男性(50代)Dへの感染も疑われている。

つまりこの会社には、いずれも発症前2週間に県外での滞在歴のないA〜Dまで4人の感染者がいたということになる。また、男性Cは4月1日に感染が判明したその兄である男性(60代)Eから感染したのではないかと推測され、男性Eは福井県内の飲食店での飲食により感染したのではないかとされている。

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