喫煙室でタバコ吸う人があまりに危なすぎる訳 「3密」の条件が当てはまり感染拡大が懸念

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──喫煙室内のPM2.5の濃度はどれくらいなのでしょうか。また周囲への影響はどうでしょうか。

大和教授:ある自治体から依頼され、喫煙室を調べたことがあります。その喫煙室は2階にありますが、喫煙室から排気されたタバコ煙が壁面に沿って風下方向へ拡散し、周辺にいわゆる「望まない受動喫煙」が発生していました。

その喫煙室内のPM2.5は1000〜2000μg/m3に達する劣悪な環境でした。環境省のPM2.5に関する基準値は、1年平均で15μg/m3以下でかつ1日平均35μg/m3以下、外出の自粛要請をするレベルは70μg/m3以下となっていて、喫煙室内がどれくらいひどい状況かよくわかると思います。

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──喫煙室には、新型コロナウイルスの感染を広げる危険性があるのでしょうか。

大和教授:もちろんです。換気が悪く密集する喫煙室は、新型コロナウイルスを感染させ、集団発生の原因となる危険性があります。会話や咳、くしゃみが届く距離に喫煙者が密集し、タバコを吸うためにマスクを外すため、新型コロナウイルスの粘膜感染、吸入感染のリスクが上がります。

3密になる喫煙室は閉鎖したほうがよい

また、新型コロナウイルスは無機物の表面で最大9日間、生存すると考えられていますから、密閉された喫煙室はドアがあり、そのドアノブや手すりなどを触った手でタバコを扱い、口にくわえるという接触感染の危険性も大きいのです。いわゆる「3密」になる喫煙室は、すぐに閉鎖したほうがいいでしょう。

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためには、喫煙室や喫煙所の使用を避けたほうが良さそうだ。また、こうした施設の管理者側も、一時的な使用停止を考えたほうが良いのではないだろうか。

石田 雅彦 ライター、編集者

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いしだ まさひこ / Masahiko Ishida

医科学修士(MMSc)。近代映画社で出版の基礎を学び、独立後はネットメディア編集長、紙媒体の商業誌編集長などを経験。ライターとして自然科学から社会科学まで多様な著述活動を行う。横浜市立大学大学院医学研究科博士課程在学中。JASTJ会員。元喫煙者。サイエンス系の著書に『恐竜大接近』(集英社、監修:小畠郁生)、『遺伝子・ゲノム最前線』(扶桑社、監修:和田昭允)、『ロボット・テクノロジーよ、日本を救え』(ポプラ社)など、人文系著書に『季節の実用語』(アカシック)、『おんな城主 井伊直虎』(アスペクト)など、出版プロデュースに『新型タバコの本当のリスク』(著者:田淵貴大)などがある。

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