台湾がWHOのテドロス発言に猛反発した背景

先住民族や対中交流、その試行錯誤の歴史

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長による発言が波紋を広げている(写真:新華社/アフロ)

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長による、台湾を名指しした発言が波紋を広げている。

テドロス氏は4月8日の記者会見で、自身が過去3カ月以上にわたり、台湾から人種差別を含むさまざまな嫌がらせを受けたとして、台湾を名指しして抗議した。これに対し、台湾外交部は翌9日、正式な抗議と謝罪を強く求め、台湾国内でもテドロス氏やWHOに対する抗議の声があがっている。

中国寄りのテドロス氏への反発

テドロス氏は新型コロナウイルスの発生当初から、その姿勢が中国寄りで現実に対処できていないと批判されていた。台湾はWHOへオブザーバー参加を求めてきたものの、中国の反対があって実現できていなかった。今回のテドロス氏に対する抗議には、こうした事情も背景にあるとみられている。

台湾は中国大陸と距離が近く、人的交流が盛んなため、中国・武漢発の新型コロナウイルスの感染拡大が心配されてきた。4月14日現在、台湾の累計感染者数は393人、同死亡者数は6人と、他国と比べて感染拡大をうまく抑制できている。

さらに、マスクなど医療用製品の不足が世界的に問題となっている中、台湾は自国でのマスク生産を日産約1500万枚に引き上げ、日本などへ提供を始めるなど、世界が台湾の存在感に注目している最中でもあった。

中国の影響力が強い国際社会において、いわゆる「マスク外交」を展開し、台湾の存在感を高めようという意図が感じられる。しかし今回、台湾がテドロス氏に猛反発している背景には、外交面以外の理由もありそうだ。

台湾の蔡英文総統は4月9日に自身のフェイスブックに投稿し、「テドロス氏を台湾に招き、台湾人がいかに差別と孤立の中で世界と接点を持ち、国際社会に貢献するための努力をしているかがわかるだろう」と記した。ここに、台湾社会の意識が内包されている。

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