隠れコロナ蔓延下で起きるもう1つの医療崩壊

相談・受診の目安に縛られすぎてはいけない

緊急事態宣言後、外出自粛要請が出た都内では警察官が巡回していた(写真:REUTERS/Issei Kato)

「同居している彼女が昨日の夜から熱を出しまして……」

私の仕事のアシストをお願いしている20代男性が、少し慌てたようにスマートフォンの向こうでそう告げたのは、11日の土曜日の朝だった。

彼にそんな女性がいたとは知らず、いきなりのプライベートな告白に驚くと同時に、それだけ逼迫している状況がうかがえた。その日も、いっしょに作業を進める要件があったが、それどころではない。互いに接触は避けるべきだ。

「どうしたら、いいでしょうか?」

次に彼は、同居人の対処の仕方を尋ねてきた。私が新型コロナウイルスについての寄稿を重ねていたことを彼は知っていた。彼女の熱は37度8分。激しい頭痛が続き、金曜日の夜は嘔吐もあったという。こんな近くに、感染の症状が疑われる存在が現れるとは、思いもしなかった。

まずは、地元の保健所、もしくは自治体の相談窓口に電話すること。そこで指示を仰ぐことを伝えて、ひとまず電話を切った。

患者の診察に消極的な医療機関

そこから、彼は地元の保健所に電話をかけた。すると、保健所の職員は、どこでもいいから、近くのクリニックや病院に行って受診するように、と言った。そして、最後に冷めたようにこう付け加えたという。

「ただ、4日以上高熱が続き、呼吸器系の障害がないと、検査も受けられなければ、新型コロナウイルスとも診断されませんよ」

ちなみに、彼と彼女、それにその姉と母の4人が同居しているのは神奈川県の地方都市。そこの大病院では2月に同ウイルスの院内感染を引き起こしている。

次に、彼は近くのクリニックに電話をして事情を話すと、発熱患者は指定の時間帯に受診するように告げられる。念のため、他の受診者への感染を阻止する措置なのだろう。その時間帯に、ふらつく彼女をクリニックに連れて行く。医師の判断によっては、PCR検査を受けられるものだと思っていた。

ところが、診察に当たった医師は、まずこう言った。

「うちでは、PCR検査はしません」

驚く患者に対し、今度はこう重ねた。

「風邪だと思うけれど、インフルエンザだったら、いいのにね」

そこでインフルエンザの検査を実施。すぐに陰性であることがわかる。

医師は彼女に自宅での療養を指示して、最後に言った。

「容態が悪くなるようなら、救急車を呼んで」

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