パンデミック迫る「新型コロナ感染」の非常事態 宗教団体を通じた感染拡大の危険性も露呈

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大規模な感染が確認された韓国でマスクを求め長蛇の列に並ぶ人々。ソウルで2月27日(写真:REUTERS/Heo Ran)

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の勢いが止まらない。

安倍晋三首相は、2月26日に開かれた政府の新型コロナウイルス対策本部で、この1〜2週間が感染拡大防止に極めて重要として、大規模なスポーツや文化イベントなどの今後2週間程度の中止か延期、もしくは規模の縮小を要請した。

これを受けて、ドーム球場でのコンサートが突如中止となったり、プロ野球のオープン戦や競馬が無観客開催となったり、東京ディズニーランドとディズニーシーなども休園を決めた。また、前日に策定された政府の基本方針が示され、専門家会議からは濃厚接触を避けるための立食パーティーや飲み会の自粛が呼びかけられたこともあって、飲食店では事前予約のキャンセルが相次ぎ、夜の繁華街も閑散としている。これはもはや、事実上の国家の非常事態といえる。

同時に、この風景は私がかつて取材したSARS(重症急性呼吸器症候群)が蔓延した2003年当時の台湾、香港、中国の街の様子と重なってきた。

クルーズ船の下船は正しかったのか

横浜港に停泊中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」から乗客の下船がはじまった当時、これは感染拡大の可能性がある「ギャンブル」だと以前に書いた(『クルーズ船乗客下船、日本の新型肺炎対策の限界』)。その後、東京や千葉、栃木、徳島などで体調を崩した下船客が検査の結果、陽性であることが判明している。

徳島の場合は、下船後に公共交通機関を使って羽田空港から航空機で帰宅。四国にはじめてウイルスが持ち込まれたことになる。感染症は、隔離、封じ込めが重要とされるにもかかわらず、全国に感染者を広めるというまったく逆のことをしでかした。明らかなギャンブルの失敗だろう。

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