下船がはじまった19日当時は、日本の感染者は、発生源の中国に次いで2番目に多く、クルーズ船も含めると706人だった。ところが、それから数日のうちに韓国での感染者が爆発的に増えて日本を抜き去り、いまでは2000人以上となっている。
韓国での感染拡大の原因は、新興宗教団体「新天地イエス教会」の大邱(テグ)にある教会だった。感染が疑われる症状のあった信者の1人が検査を拒否し、病院を抜けだして、礼拝に参加したことから感染が広まった。
この教団は、他のキリスト系の宗教団体に潜り込み、牧師を醜聞などで追放して、乗っ取ってしまうことで知られる。感染拡大後には「伝染が新天地だけの問題ではないことを知らせよう」と、信者が一般教会の礼拝に潜入してウイルスの拡散を目論んでいたことが、SNSのグループトークへの書き込みから発覚、地元マスコミに暴露されている。
このカルト教団とも形容される宗教団体は東京都内にも教会支部があって、韓国から牧師も往来して指導にあたっている。
日本国内でも集団感染のリスクはある
実は、日本でも昨年1月に三重県で麻疹(はしか)の集団感染が発生しているが、これが新興宗教団体によるものだった。この宗教団体では、信者の多くが予防接種を受けていなかった。現代医療を否定し、”手かざし”によってあらゆる病気は治る教えが説かれていたからだ。
今回の事態でも、全国各地に支部を置く、ある新興宗教団体では、すでに教祖が仏法の力で「ウイルスを死滅できる」と説き、信者に「マスクは必要ない」と呼びかけている。さらに、会費を募った祈願イベントを開催。この宗教団体では、この先2週間も各地で行事が予定されている。
信仰の自由があるのはもちろんだが、政府がやることはもっと他にあるのではないか。
日本国内では28日現在、19都道府県で200人の感染が判明している。小学生の兄弟の感染が認められるなど、都道府県別で最も感染者の多い北海道では、小中学校の休校を各自治体に求めて、26日から実施された。
これを追うように安倍首相は27日に、週明け3月2日の月曜日から全国の小中学校と高校、特別支援学校に臨時休校を要請した。現場には混乱が広がっている。共働き世帯やひとり親家庭では子どもの面倒をみるのは困難なはずだ。首相は企業に有給休暇などを取りやすい対応の協力を求めているが、それだけでは企業活動が停滞してしまう。
SARS取材時の台湾では、社員も出勤しなくなった企業が、倒産の危機を訴えていた。日本国内でも社会全体の動きが止まってもおかしくはない。すでに28日には、世界同時株安が進んでいる。
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