新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるのに、民間企業が普段の事業活動で収集しているユーザーデータを活用できないか――。政府がそんな試みを推し進める中、企業や個人の間には、事態収束への期待が高まる一方、プライバシー保護に関する懸念が広がっている。
内閣官房、総務省、厚生労働省、経済産業省は3月31日、プラットフォーム事業者(IT・ネット大手)や移動通信事業者(携帯電話事業者)に対し、新型コロナウイルスの感染拡大防止に資する統計データの提供について、連名で要請を行った。「データを活用し事業を行っている企業には有用なデータがたまっており、活用に関する知見もある。コロナ対策に活用できるはず」。総務省の担当者はそう狙いを話す。
専門家会議がICT活用を提言
新型コロナ対策の専門家会議が4月1日に出した提言書にも、感染拡大防止への「ICTの利活用」が盛り込まれた。該当部分の内容は以下の通りである。
具体的な活用方法の検討・実施に向け、内閣官房は関係省庁からなる新型コロナ対策テックチームを組成、4月6日にはキックオフ会合も開催した。当会にはチーム長の西村康稔・新型コロナ感染症対策担当大臣、竹本直一・情報通信技術(IT)政策担当大臣、北村誠吾・規制改革担当大臣のほか、民間企業からヤフー、グーグル、日本マイクロソフト、LINE、楽天、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの幹部が参加している。