東京都や神奈川県、大阪府、福岡県などの7都府県向けに遂に発令された「緊急事態宣言」。これが新型コロナウイルスを地方へと運びかねないとして懸念されており、家族や知人を介して新たな小規模クラスターを多発させる危険もある。
昨日(4月7日)時点でも新潟県が、東京から先月30日に帰省した阿賀野市の20代の接客業の女性が全身の倦怠感などを訴え受診したところ、陽性が確認されたと発表している。実際、東京から地方へと帰省した人々の感染は次々に確認されており、帰省の動きに懸念の声が上がっている。
日本にも近い東南アジアでも急速に感染の波が襲っており、特に医療体制や衛生面などが脆弱だと指摘される国を含めると、今後爆発的な感染者数の伸びも起こりうるのではないかと懸念されている。欧米におけるロックダウンと同様、もしくはそれ以上に厳しい罰則をもって都市封鎖を行っている国々も実は少なくない。
そんななか、東南アジアで最も感染者数が多く、アジア初の「国境封鎖」と「活動制限令」を出したマレーシアにおけるロックダウン下の生活がどのようなものになっているか、詳細に報じたい。
日本と同じような都市脱出や疎開のような動きは一足早く、マレーシアでも活動制限令発令の当日夜から発生している。
都市部の学生や社会人が故郷へ帰省
アジア初の国境封鎖および活動制限令がいち早く3月18日に発令されたマレーシアでは、ムヒディン首相が緊急で夜に会見を行うという噂が出回り始めた宣言当日から、マレー語で「Balik Kampung」、つまり田舎に帰る、里帰りがトレンドワードに。首都クアラルンプールなどの都市部で一人暮らしをする学生や社会人が、学校や企業が突如として閉鎖となったため慌てて故郷に帰省する、さらには当初2週間とされていた活動制限令を「ホリデー(休暇)」だと軽く捉えて骨休めに里帰りする、などの動きが発生したのだ。
当初から州をまたぐ移動には警察の許可証が必要ということもあり、各地の警察署前には長い行列ができるなどの混乱が見られる事態となった。さらに、国内を移動するためのバスや電車などのターミナルは、急遽チケットを求める人々でごった返した。まだ「ソーシャル・ディスタンス」という言葉もそれほど広くは普及していなかった中で、マスクをせずに列をなす姿も見受けられ、人々が密集して騒ぎとなった。果たして、この里帰り騒ぎでどれほどウイルスが拡散したか、これほどの大移動が起こってしまった後となっては、正確な感染経路は追跡のしようもない。
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