そのようななか、政府はいち早く、「今このウイルスは国内全体に蔓延し始めています、家にいてください。里帰りはしないでください。あなたの両親を危険にさらすことになります」とツイッターで発信。ウイルス感染の危険性がいかに身近に差し迫ったものであるかを、SNSを通じて訴えた。
警察署の前に貼られた皮肉たっぷりのポスターも、SNS上で拡散した。
「もしあなたが里帰りしたいのならば、書類を記入する必要はもはやありません。ウイルスを拡散させる旅をどうぞ続けてください。どうぞ安全運転を」
地方に帰省した人々からの感染が相次いで報告
早くから、ウイルスの拡散に対して強い警告を発信し続けていたマレーシア政府だが、実際に都市部から地方へと帰省した人々からの感染は相次いで報告されており、原因不明の感染も徐々に増えている。連日のように会見しているマレーシア保健省のノル・ヒシャム・アブドラ保健局長は、原因不明の感染者が昨日(4月7日)時点で少なくとも69人いることを明かした。
実は、マレーシアと日本の感染者数および死者数は、ここ数日追いつき追い越せの状態でほぼ同じような変化をたどっている。現在、マレーシアでは4月7日時点で感染者数は3963人、死者数は63人、日本では3906人、死者数は80人と、感染者数はほぼ同数。死者数はわずかに日本のほうが上回っている状況だ。国全体の人口比の差もあり、マレーシアでは3月18日にロックダウンに踏み切ったが、現在日本国内でも感染経路不明の患者数は増え続けており、今後、「緊急事態宣言」が発令された東京など7都府県を中心に、どれほど移動の制限などが忠実に実行されるかが重要となってくる。
しかしながら、やむをえず帰省した人々もいる。首都クアラルンプールの寮制の大学に通う女子学生は、事実上のロックダウンの発令を受けて、大学側から授業の休講と帰郷を促すアドバイスをされたという。さまざまな事情から「里帰り」する人々が発生したわけだが、それぞれの個人や大学、企業に判断は委ねられており、一概に帰省者を非難できない現状もあることから、マレーシアでは当初発表された活動制限令をさらに強化していった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら