造船「国内首位&2位連合」でも遠い中韓の背中 今治造船とJMUが提携、受注競争に危機感

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今回の提携は今治造船によるJMUの救済色が強い。

JMUは、大型LNG運搬船の建造で巨額の工事損失引当金を計上し、2018年3月期は698億円の最終赤字に陥った。LNG運搬船は中国や韓国に押されがちな日本の造船業界の起死回生を図るための取り組みだったが、その後も業績は振るわず、足元の2019年4~12月期も131億円の営業赤字になっている。

JMUの千葉光太郎社長は今治造船との提携について、「マスト(必然)であり、ベスト(最善)の提携」と話す。

両社を駆り立てた中韓への危機感

ただ、今治造船はJMUに対して最大限の配慮を示す。今治造船はこれまで、経営危機に陥ったほかの造船会社を買収し、勢力を拡大してきた。それはいずれも瀬戸内の地場系造船会社で、JMUとは規模も性格も異なる。

今治造船の檜垣幸人社長は「M&Aでは弱者と強者が決まるが、今回はあくまで(対等な)アライアンスだ」と強調した。JMUへの出資比率を30%にとどめたのは、JMUの独立性を確保するためのぎりぎりの歩み寄りだったとも言える。

2社を提携へと駆り立てたのは、世界の造船市場の二強、中国と韓国で造船業界の再編が相次いでいることも見逃せない。

「日本の造船業、ひいては海事産業を守っていきたいという一存で今回の提携となった。日本に根ざしていくのはこの2社しかない」

今治造船の檜垣社長は危機感をあらわにする。

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