造船「国内首位&2位連合」でも遠い中韓の背中 今治造船とJMUが提携、受注競争に危機感

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ただ、船価が高く、今後の需要も見込めるLNG船に関しては両社ともあきらめたわけではない。特にJMUはSPB方式という独自の技術を持っている。千葉社長は「ライセンスを持っているので、建造のノウハウは維持したい」と語る。日本勢では、川崎重工業が中国での合弁会社に活路を見いだしている状況だ。今治造船、JMUがLNG船をどうするのかは今後の注目点だ。

今後、中韓との差別化のために注力するのは環境規制への対応だ。国際海運のルールを決める国際海事機関(IMO)は、温室効果ガスの排出について2030年に2008年比で40%以上の削減を求めている。

新たな合弁会社の社長に就任するJMUの前田明徳・商船事業本部長は「規制をクリアする船をどこよりも早くマーケットに送り出せるようにしていきたい」と意気込む。JMUの開発力と今治造船のスピードをあわせ、早く環境規制に対応した船を造るというのが、今回の提携が描く活路だ。

将来的には造船大連合の可能性も

足元では、新型コロナウイルスの感染拡大で中国の造船所が一時停止しており、そこで行うはずだった船の修繕を日本の造船所が引き受けるケースが増えている。

日本の造船所では今のところ感染拡大による操業停止は起きておらず、一部の工場ではフル操業の状態が続いているという。しかし、建造期間が長い新造船について中国と韓国が不利に働く可能性は低い。

「瀬戸内海でこれだけのサプライチェーンを築き上げた。俺たちはコストも技術も負けていない。ただ、船価で負けてしまう。それは相手が赤字受注を平気でできるからだ」。檜垣社長は会見で悔しさをにじませた。

根本的な解決には、オールジャパンで造船大連合をつくるのか、別の方法を模索するのか。今回のような提携にとどまらない大胆な一手が必要だ。

高橋 玲央 東洋経済 記者

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たかはし れお / Reo Takahashi

名古屋市出身、新聞社勤務を経て2018年10月に東洋経済新報社入社。証券など金融業界を担当。半導体、電子部品、重工業などにも興味。

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