また、「好きな仕事はやるけれど、興味のないことには手をつけない」「コスパ重視で仕事とプライベートをきっちりと分けすぎる」といった評判もよく聞こえてくる。しかし、これらも見方を変えるとZ世代の強みだと言えるだろう。
「好き」を追求する人が多いのは、多様性を尊重する時代環境の中で育ったからこそ。同調圧力に屈せず自分の意見を主張することは、とりわけ日本では上の世代が苦手としてきたことであり、弱点を補ってくれる存在にもなりえる。
また、人それぞれ好きなことや得意なことが違っていいという価値観は、まさしく労働人口減少時代に求められているダイバーシティ経営に通じること。多様な人たちが集まる組織で働くうえでは必須の考え方だ。
そして、上司から見れば「コスパ重視」だと感じられるのも、これと決めた目的を最短で実現したいからこその印象だろう。デジタルネイティブの彼らからすれば、“コピペ”で済むならそれでいい。わざわざ文字に書いて説明するより、写真を撮って送ったほうが早い。それが失礼だとか、前例がないからといった価値基準でものごとを見ておらず、ある意味で非常に理にかなった方法を取ろうとしているのだ。
活かすも殺すもマネジメント次第
こうした動きができる人は、目的を実現する力が高いとも言えるし、従来の常識やしがらみに縛られず、自由な発想ができる人でもある。やはり、10年20年と似たような環境にいる上の世代からすると、慣習を前提に考えてしまう癖がついて抜け出せない場合も多い。その意味で、まったく異なる価値観・視点をもつZ世代は、組織に新たなアイデアをもたらしてくれる存在、イノベーションのヒントをもたらす存在にもなりえるはずだ。
いつの時代も「イマドキの若者」という話題は尽きないし、世代間の違いは人類の永遠のテーマだろう。確かに、仕事の熟練度という意味では若者が未熟なのは事実であり、その点においては先輩たちから学んでほしい。しかし、ここまでお伝えしたとおり価値観や考え方の違いは、優劣ではなく個性。それを活かすも殺すもマネジメント次第ではないだろうか。
ただ、注意すべきはむしろ受け入れ側だ。エッグフォワードに数多く持ち込まれる若手受け入れやマネジメント課題に対峙していると、人事や企画部門、もしくは受け入れ側の上長はすぐに、Z世代を一括りにしてしまいがち。
ここまでの話と真逆のことを言うようだが、当然ながら人は世代で一括りにはできないことを付け加えておきたい。世代によって傾向はあれど実際には人それぞれ。今の若者が育ってきた環境や価値観の土台となった出来事は受け止めつつも、個人としっかり向き合いながら育てていくのが、いつの時代も変わらないマネジメントの鉄則なのだ。
次の連載では、若手マネジメントに最近見られる「WILLハラ」についても扱ってみたい。
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