中国中央テレビ(CCTV)は3月29日、中国工程院のメンバーである鍾南山(訳注:中国の感染症対策の権威で、政府専門家チームのトップ)の、次のようなコメントを報じた。
「無症状感染者は感染者と濃厚接触した人で、中には新型コロナウイルスに感染しているが、症状がない人もいる。彼らはウイルスキャリアである。上気道のウイルス量が多く、感染力も強く、極めて注目に値する」
すでに中国で無症状感染者による感染が多発しているのは確かだ。しかし、その規模や感染動向は公表されておらず、世論の不安やパニックさえ生み出し、しばしばデマの拡大を助長している。「この抜け穴によって、地方政府が感染者を無症状感染者に”すり替え”、データを隠蔽している」という声さえある。
「武漢”封鎖解除”後の再発を防げ」
鍾南山は、現段階で中国に無症状感染者が大量にいるとは考えていない。「もしいるとすれば無症状感染者が他の人にウイルスを感染させ、中国の新型コロナウイルスの感染者はさらに多くなるはず。だが、実際には感染者は増えておらず、むしろ減っている」という。しかし同時に、「私は何のデータも持っていない。どれだけの無症状感染者がいるかを示す研究もない」と述べた。
多くの専門家は、無症状感染者の規模を明らかにするために、早急に武漢で血清学(訳注:主に抗原や抗体反応を専門とする医学分野)的な追跡スクリーニング検査を行うべきだと呼びかけている。
南京医科大学教授の胡志斌(コ・シヒン)は、「これまでに武漢市では多数の感染者が生まれている。無症状感染者に対して十分なスクリーニング検査を積極的に行えば、”封鎖解除”後の感染再発を防げるし、そうすべきだ」と考えている。感染者データの公開は、高度な研究を促進し、感染拡大のトレンドを科学的に理解するのを助け、感染再燃の火種を消すための速やかな行動につながるという。
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