2月2日午前3時、貴州省人民病院の小児内科医・崔玉霞は突然、緊急の電話を受けた。生後2カ月に満たない女児の小果(仮名)が、核酸検査(訳注:PCR検査など)の結果、新型コロナウイルス陽性と診断され、病院で治療を受けることになったのだ。
すぐに、オレンジ色のおくるみに包まれた小さな乳児が、”完全防備”の医療スタッフによって病室に運び込まれた。貴州省で最年少の新型肺炎患者が誕生した。
1月末から乳児感染者が続々と確認
「小果がここに来たときはまだ生後55日で、体重は4.5kg。こんな小さな命はもろく弱い」。崔玉霞は当時の情景を思い出しながら話す。
1月末から、湖北省武漢や貴州省貴陽、河南省信陽などで、1歳未満の乳児感染者が立て続けに確認されている。発育不全、免疫機能低下、表現力の欠如――。こうした特殊な患者が、小児科医の負担を倍増させる。
感染拡大の中心地に位置する武漢小児病院は、武漢市における新型肺炎の小児患者指定病院であり、新型肺炎の乳幼児を全国で最も多く治療している医療機関だ。他の地域から医療援助チームを受け入れていない武漢で唯一の病院でもあり、治療内容の詳細が公表されることは少ない。
あるスタッフは、「新型肺炎の新生児の隔離エリアとしてワンフロアを確保していた」と話す。3月初めまでに新型肺炎の新生児を50人以上受け入れ、そのうち4人は新生児用の集中治療室(ICU)で治療したという。
どうすれば新型肺炎の乳児を救えるのか? 乳児と幼児の分かれめは「満1歳」とするのが通例だ。新型コロナに感染している、あるいは感染の疑いがある乳児は、表現力や身体の発育が極めて未熟である。
新型肺炎乳児の治療に携わった数人の医師によると、成人の治療とは異なり、乳児に対してどのように投薬し、どうケアするかについて、初めはマニュアルが一切なかったという。何事も「石橋を叩いて渡る」しかなかった。
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