中国の「母子感染」が示す乳児のコロナリスク 適切に隔離されず1歳未満の感染が続々発生

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3月26日、武漢大学人民病院などの研究チームが最新の研究結果を査読制の『アメリカ医師会雑誌(JAMA)』に発表。母子感染問題に新たな疑念を投げかけた。

同研究によると、2月22日、武漢大学人民病院の陰圧室(訳注:室内の空気が流出しないように、気圧を低くしてある部屋)で、新型コロナウイルスに感染した妊婦が帝王切開で女児を出産した。出産の2時間後、新生児のIgM抗体(訳注:細菌やウイルスに感染した際、最初に作られる抗体)とIgG抗体(訳注:血液中に最も多く含まれる抗体)のレベルは正常値よりも有意に高く、その後の5回の核酸検査もすべて陰性だった。

IgM抗体は通常、新型コロナウイルスに感染してから3~7日後に出現する。さらに、母親の出産プロセスは十分に保護されており、膣や母乳も核酸検査で陰性だった。そのため同チームは、新生児が母親の胎内でウイルスに感染した可能性が極めて高いと推測している。

感染初期の不備が母子感染の原因?

一方、産婦人科と新生児科の数人の専門家は、新型コロナウイルスに感染した妊婦を出産後すぐに新生児と隔離すれば、新生児の感染を防ぐうえで有効だと信じている。妊婦患者の指定病院である武漢大学中南病院によると、2月22日までに60人以上の妊婦患者や感染の疑いがある妊婦を治療したが、適切に保護したため、陽性の新生児は1人もいなかったという。

ある小児科医は、母子感染がよく見られたのは感染が蔓延する初期の段階だと話す。原因は、病院が小児、特に新生児への感染を予防する意識が足りなかったり、妊婦感染者と乳児を適切に隔離しなかったりしたことだという。

河南省信陽市の生後5日の新生児患者の状況は、まさに初期における乳児保護の手落ちを反映している。1月31日、信陽職業技術学院付属病院で、新型コロナウイルスに感染した疑いが強い妊婦が男児を出産した。産婦は38℃以上の高熱を出し、ウイルス性心筋炎と急性肝損傷も患っていた。事態は急を要したため、病院は帝王切開を行うと決定。難しい治療の末、母子の命は守られた。

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