職場がどうも合わないなら辞めても問題ない訳

拡大解釈の「やり抜く力」、方向転換のすすめ

ギャンブラーはいろいろなマシンを試してみて、賞金が最も高くなる方法を探す。ミラーはマッチ・クオリティーのプロセスもこれと同じだと示した。最初は何も知識がないところから始め、このマシンでよいのかどうか、できるだけ早く情報が得られるやり方でさまざまな道を試す。そして、どこにエネルギーを注ぐべきか、だんだんと考えを修正していく。

ミラーによると、若者はリスクの高い仕事にひかれる傾向があり、それは「若くて愚か」と表現されたりもするが、実はまったく愚かなことではないという。それは逆に理想的だ。

若者は年長の社会人よりも経験が少ないので、最初に試すべきなのは、リスクもリターンも大きく、多くのフィードバック情報が得られる仕事だ。プロのスポーツ選手や俳優を目指したり、ベンチャー企業を立ち上げたりするのは、成功の可能性は低いが、うまくいけば見返りは大きい。

また、つねにフィードバックが得られ、容赦なく選別される環境なので、挑戦してみて自分に合っているかどうかが早く学べる。少なくとも、フィードバックが少ない環境よりは学びが早い。もし合っていないと判断したら、別のものを試し、ほかの選択肢や自分自身についての情報を集めていく。

合っていないと感じたら早くやめる

キャリア関連の本で世界的な人気を得ているセス・ゴーディンは「やめる人は決して勝てない」という考え方を否定する本を書いた。それによると、「勝者」(自分のドメインでトップに立つ人)は合っていないと感じたら早くやめ、やめることについて悪い感情を抱かないという。ゴーディンは、「やめる勇気がなくて仕事にしがみついていると失敗する」と言う。

ただし、単に仕事が大変だからという理由でやめることは勧めていない。長い道を歩むうえで、困難に屈しないことは強みになる。しかし、やめるべきときがわかることは、戦略的に非常に大きな強みなので、何かを始めようとするときには、やめるときの条件を挙げておくべきだとゴーディンは言う。彼によると、ここで最も大切なのは、やめようと思う気持ちが、忍耐力が足りないためなのか、それとも、もっと自分に合うものを見つけたからなのかを感じ取ることだ。

ビーストは、スロットマシンとして最適だ。非常に優秀な高卒者のグループが、軍隊経験が微塵もない状態でウエストポイントのレバーを引く。そうすることで彼らはハイリスク、ハイリターンのプログラムを開始して、その1週目から、自分が軍隊の規律に合っているかどうか、大量の情報を得ることになる。

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