米中で感染拡大でも進む「在宅勤務」の存在感 日本はこれから仕事の進め方を変えるべきだ

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カリフォルニア大学サンディエゴ校がZoomを通して会議を開催する場面(筆者撮影)

新型コロナウイルスの感染拡大が全世界に甚大な影響を与えている。17年前のSARS(重症急性呼吸器症候群)に比べ影響の範囲も深刻度もはるかに大きくなった。人・モノの移動を含め、世界経済の一体化が進んだことが要因だ。

アメリカ西海岸に滞在する筆者も、3月に入ってからコロナウイルス感染拡大の影響を受けるようになった。大学院授業がオンラインに変更となり、研究に関連したイベントも訪問も中止、レストランでさえテイクアウトや配送のみとなっている。

感染源になった中国では、とくに都市部で、隔離が2カ月以上続いている。マンションの出入りには通行証提示や体温検査が必要であり、在宅勤務がとくにテック企業において徹底的になされている。

こうした状態に直面し、世界経済の一時的な減退が避けられないだろう。一方で、人々の「隔離状態」が続く米中両国の現状から、今後日本の経済回復のヒントもあると思われるため、今回は米中の実情やハイテク利用を紹介したい。

ビデオ会議は当たり前のアメリカ企業文化

アメリカで働く人で、「Zoom」を知らない人はいないだろう。日本でも在宅勤務の拡大で徐々に認知されてきている。

Zoomとは、ビデオ会議に特化したクラウドサービスで、今や日本や他国でも積極的に事業展開しているサンノゼ発のITサービスである(ちなみにZoom Video Communicationsは、在米中国人の袁征(Eric S. Yuan)氏が起業したユニコーン企業。袁氏はCEOランキング2018の評価ではトップを取っている)。

評価額が10億ドル以上の未上場スタートアップ企業を指すユニコーン企業は、CB Insightsのデータによると2019年アメリカには220社、中国109社あるのに対し、日本は3社にとどまる。

筆者が滞在してまもなく、アメリカではZoomなどのビデオ会議サービスを使って打ち合わせをすることはごく普通なことだと知った。普及する理由の1つは国の広さである。アメリカは国土が広く、西海岸と東海岸との時差だけで3時間があり、国内出張と言っても移動に6、7時間かかる。すべての打ち合わせを対面ですることには物理的に無理がある。

もう1つの理由は利便性だ。Zoomまたは類似のサービスを使うと、ビデオ会議をそのまま録画することでき、会議記録としてもエビデンスとしても保存できる。そして、大人数のビデオ会議もスムーズに開催できる。細かいところだがバックグラウンド写真の設定が可能で自宅などのプライバシーが守れるのだ。

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