米中で感染拡大でも進む「在宅勤務」の存在感 日本はこれから仕事の進め方を変えるべきだ

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一方、新興国の中国はどうであろう。以前の記事で中国のIT進歩を「リープフロッグ型発展」と指摘したとおり、自主隔離についての管理も在宅勤務も子どもの教育も一気に先進的な形になっている。

「杭州健康QRコード」の記入画面(画像:小松氏提供)

アリババ本社がある杭州を例にすると、まず、杭州市が健康チェックアプリ「杭州健康QRコード」を運用している。毎日個人個人が健康状態を入力することにより、緑・黄・赤のQRコードが出る。

緑の場合、このQRコードを提示すれば、市内で移動することは可能である。黄色いコードになった場合、7日間自宅などで隔離する必要がある。赤いコード場合、黄色い場合の倍の14日間の措置が要求される。

例えば、タクシーに乗る場合、乗客は乗車時、運転手に緑色の健康QRコードを提示。運転手がそれを確認の上、乗車登録QRコードを示し、乗客はそれをスキャンしてデータ登録する。これにより、乗車した車の番号、乗客の電話と搭乗日時が全部記録される。

何色が出るのかは、申告者自身の健康状態だけではなく、所在地域の危険度と滞在期間、感染者との密接接触度などで総合的に分析されているようである。

中国で進む個人の管理

カルビー(杭州)食品有限公司の小松立夫氏によると、杭州で勤務する人は毎日アリババのサービスであるアリペイまたはDING Talk(釘釘、アリババが中国の中小企業向け開発したマルチオンラインプラットフォーム。HR関連、同僚の間の交流などさまざまな機能を持つ)を通して健康状態を記入し、そのアプリから健康QRコードが表示され、緑色を待たないと出勤どころか、外出することも許されない。

緑のQRコード(画像:小松氏提供)

これにより、政府でも企業でも市民・社員の健康状態を把握することができ、感染のマクロ的な予測などもできるのである。ちなみに現在WeChatでも「防疫健康QRコード」が取得でき、アリババの方式と同様に運用されている。杭州から始まった健康QRコードは今やほかの地域でも活躍される動きがある。

もちろん、中国のようなビッグデータそしてICTの融合で「管理する」ことは、個人情報などを気にする他国ではなかなか実現することが難しい。

ただ、ポスト新型コロナウイルスに向けて、いかに健康な人に安心して活動し、一刻も早く正常の経済活動と日常生活に戻ることは肝心なところになり、杭州のこうした試しは一例になるであろう。

日中ビジネスと文化に詳しい小松氏は、「タクシー、電車等移動手段、レストラン、ショップ、オフィス等外出先、帰宅時などで、健康QRコードの提示が不可欠です。健康が確認された人以外は外出制限というのが最大の投入目的ですが、みんな同様なチェックを受けているので、外出しても、周囲の疑心暗鬼を打消し、安心感をもたらす副次的な効果もある」とコメントした。杭州はこのような措置を用いたことが奏功した結果、在宅勤務経由で現在は普通の出社勤務状態に戻りつつあるようだ。

また、ニューヨーク州知事のクオモ氏も、ニューヨークにいるお年寄りを守りながら健康な若者に仕事に復帰させ、また経済の回復ができるようにスマートパブリックヘルス戦略の構築も検討すると明言しているし、今後このようなことはビジネスとしても注目すべきだ。

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