日銀と政府の新型コロナ対策は間違っている

病気は深刻だが危機は過大視されていないか

第1に、日本銀行や日本政府の対応は100%といっていいほど間違っていること。

日本銀行がETF(上場投資信託)、上場REIT(不動産投資信託)の買い入れを倍増させるという緊急対策を打ち出したのは100%誤りだ。株価対策は危機の本質と、もはや無関係なのだ。したがって、FEDが緊急対策をして、流動性供給をしたのは正しいが、日銀が株式を買い入れているのは「180度」間違っている。

なぜ日本政府の経済対策は間違いなのか

一方、日銀ほど誰の目にも明らかな間違いではないが、日本政府の経済対策の議論もやはり100%といっていいほど間違いである。日本政府はアメリカに負けじとばかりに大規模経済対策を打とうとしているが、それは消費喚起による景気対策であり、それも間違いなのだ。消費税減税も国民全員に現金をばら撒くのも、役に立たないどころか、害悪なのである。

これは誤解を恐れずに言えば「日本の平和ボケ」や「日本の新型コロナ対応がある程度成功したと評価された」ため、危機感が薄いことから生まれているのかもしれない。だが、重要なのは株価ではない。実体経済における倒産阻止、しかも日本の場合は観光や、海外の経済活動停止にともなう輸出激減などによる中小企業倒産を食い止めることだ。さらに、国内のフリーランスを含む、失業者増大の懸念なのだ。

ここで、なぜ日本がコロナ対応に成功したか、という議論は置いておくが日本社会の良い点が出ていることも事実である(個人的には、綺麗好きという国民性によると思っている。個人的な観察では「日本では公衆トイレで手をあらう人は5割」と書いたことがあるが、アメリカ在住時代は、自分以外に手をあらう人をみたことがなかった)。。

つまり、雇用のあり方、企業の雇用に対する考え方は、非効率なところもあるが、この場面では力を発揮している。アメリカでは新型コロナ危機ですぐに解雇となってしまい、シカゴ連銀のジェームズ・プラード総裁ですら「最悪の場合、失業率が30%になる」という試算にまで言及している。日本では一時休業させているのと対照的だ。アメリカのシステムの脆弱性があらわになったともいえよう。

さらに、検査率が高いからという理由はあるもののNY州では「まもなく医療機器が不足してしまう」と当局幹部が発言しているように、株価がどれだけ上がっても、基礎的な社会インフラが必ずしも万全ではないという問題点が明らかになった。したがって、日本では、議論の焦点がフリーランスという制度的なところに行くほど、アメリカに比べて雇用不安が相対的には小さく、恐慌という意識が生まれにくい。

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