「非常に心配しています。彼らの子どもたちは家に取り残されているので、同じイスラム教徒の仲間内で交代して子どもたちに食事を届けるなどして、なんとか助け合いながら過ごしている状況です。私自身は今のところ、症状は出ていませんが……」
今、この集団礼拝をきっかけとした集団感染は、半ば”容疑者探し”の捜査が始まったかのような緊迫性を帯びてきている。
マレーシア国内で確認された初の死者である34歳の男性も、このモスクでの礼拝の参加者。持病などは確認されておらず、緊迫感は一気に増した。その後、死者数は連日増え続け、昨日(3月23日)現在、死者数は14人、そのうちの実に8人が集団礼拝の参加者か、その家族など濃厚接触者という深刻な状況だ。
感染者の追跡が大難航
そのような状況下、マレーシア政府は先週木曜、礼拝に参加したとされるマレーシア人1万4500人のうち、4000人近くがまだコロナウイルスの検査を受けていないと明かした。つまり、検査を受けていない信者たちが依然として多数存在し、公共交通機関などを使って自宅へ帰り、普通に生活を送っている状態だという。
これは、日本で発生したクルーズ船の状況をさらに悪化させた状況に近い。マレーシア人以外の1500人とされる参加者は、ブルネイやカンボジア、シンガポール、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピンなどから参加。現在は大半が帰国しているもようで、すでに各国で次々に感染者が発覚している。
現在、国内で必死の追跡調査が行われており、保健省の局長は連日のように、礼拝に参加した人はウイルスを拡散させる危険性があるので名乗り出て検査を確実に受けるようにと呼びかけている。しかし、全国各地から参加していた信者たちはすでに各地方へと散り散りに帰郷しているうえ、感染がバレると差別を受けるのではないかという懸念なども広まっていることから、なかなか調査は思うように進んでいないのが実態だ。
参加者の追跡調査が難航しているなか、マレーシア政府当局は感染の拡大を封じ込めるため、ついには警察の犯罪捜査班にも依頼していることを明かしたと、ロイター通信が報じている。早急な参加者個人の洗い出しが迫られている深刻な状況だ。
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