学生はなぜ「会社員はつまらなそう」と言うのか 自分の常識と「違いそう」だけで批判をする

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つまり、ある一面だけ見るとなんだかつまらなそうに見えるかもしれませんが、他方では人生を謳歌している可能性もあるということです。反対に、家ではダラダラとしている人が、平日の仕事ではバリバリと働いているようなこともあるわけです。

このように、本当の意味で人を判断しようとしたら、ある一面やある一瞬だけ見ては判断を誤るということです。

ましてや、直接的に知りもしない、誰かに聞いただけ、どっかの記事で読んだだけでその対象を批判したり、対象者の全人格を否定するようなことは決してするべきではありません。

杉山さんのケースでは通勤で見る姿が、という話ですが、これもイメージで判断をしてしまっているのかもしれませんね。

反対に考えて見ましょう。朝の通勤時にやたらとテンションが高くて、「今日もバリバリ仕事やるぜぇ~」などと叫んでいる方がいたら、そのほうが違和感ありますよね。

自分がどう周りを見るかは、個々人の考え方や価値観、そのときの気分によっても変わってきますので、「通勤時につまらなそうに見える」会社員たちの姿も、杉山さんが何年か社会人として仕事を経験してくると、景色が変わって見える可能性も大いにあります。

とはいえ、大切なことは「批判よりも行動」です。今現在、「大人はつまらなそうだ」、と見えてしまったのであれば、杉山さんご自身がつまらない大人にならないという初心を貫徹することが大切なのです。

なお、ここでいう「つまらない大人」も個々人によってその定義は異なりますから正解はありませんが、杉山さんの中には「つまらない大人像」があるがゆえに、周りがそう見えるのでしょう。

「批判よりも行動」の精神で

したがって、ご自身がそうならないように、つまり、ご自身がご自身にとっての正解と思える生き方を、周りの景色を反面教師として貫徹することにまい進するべきなのです。

もちろんその「正解と思う生き方」も成長し、経験を重ねるにつれて変化してくるでしょう。

そして、そのときは同じ通勤風景を見ても景色は変わっているはずです。それ自体は自然な成長ですから、よいことです。

一方で、つねに自分らしくあるためにつねに努力し、自分自身の生き方に対して満足であれば、よく知らない他人の批判や批評がいかに生産性のないことかが見えてくるはずです。そしてそれも人としての成長であり、成熟です。

社会とはそもそも人と人との関係性の中で成り立っているものです。

その社会の一構成員である個々人が、自分の思う幸せの形を追求し、そのうえで他人の考えや生き方を尊重し合えることが大切なわけです。

そのためには、まずは自分自身から行動を起こさないといけません。自分自身が自分であり続けるために、「批判よりも行動」の精神で、まずは自分を律し、もって周りにもそのパワーを与え、いい影響力を行使できるような、そういった人生を歩めるといいですね。

よりよい社会の構築に向けて、杉山さんが周りにいい影響を与えるようなすてきな社会人に成長されるであろうことを応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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