「テセウスの船」子役の怪演に人々が熱中する訳 大人顔負けの子どもがテレビドラマを光らせる

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なかには「同情するなら金をくれ」を流行語にした安達祐実(「家なき子」)、天才子役と爆発的人気を呼んだ芦田愛菜(「マルモのおきて」)など主役として堂々と全編やりきる子役もいる。最近では、米津玄師プロデュースの「パプリカ」を歌う5人のキッズユニット・Foorinも大活躍している。

みきお役の柴崎楓雅は2008年生まれの11歳(4月で12歳)で、デビューは2018年。ここまで大きな役は「テセウスの船」がはじめてながら、この後、映画出演などが控え、さらにこれから引っ張りだこになるだろう。

昨今の子役ブームのひねり技

「テセウスの船」のみきおが強烈な印象を残した理由にはもうひとつ考えられる。昨今の子役ブームのひねり技であったことである。昨今の子役ブームは、前述したように、いたいけで純粋な、天使のような善良さが好まれている。そういう役割を子役たちが、大人顔負けの演技で全うし、視聴者を感動させるのである。だが、「テセウスの船」のみきおは、大人顔負けの演技で、悪魔の顔を演じ、不意をついてきた。

現実の世界でも少年犯罪はある。昭和〜令和にかけてどこかで爆発的に増えたとか減ったとかいうデータは見受けられないようだが、時代、時代でエポックメーキングな事件が起こる。たとえば、沢木耕太郎が大宅壮一ノンフィクション賞をとった『テロルの決算』でも書かれた、1960年の浅沼稲次郎暗殺事件。17歳の右翼少年が、演説会場で社会党委員長浅沼を刺殺した事件。大江健三郎は山口をモデルにしたとされる「セヴンティーン」という小説を書いている。

また、1997年の神戸連続児童殺人事件(「酒鬼薔薇事件」)。猟奇的な殺人を犯した14歳の少年が自らを“透明な存在”と表す文学性にも注目が集まり、彼の生活や嗜好などから犯行の要因が様々に考察された。2015年には手記「絶歌」が発売され物議を醸し、犯人の全容は未だ解明されていない。

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