「テセウスの船」子役の怪演に人々が熱中する訳 大人顔負けの子どもがテレビドラマを光らせる

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美少年みきおのクールな目つきや口元にゾクゾクする凄みがあり、彼が目の悪い老人にクスリと偽り毒を飲ませる場面は震撼となったし、追い詰められて死んだふりして、「犯人じゃなかった?」と思わせてから、目をパチリと開けるところなんてホラー映画のような興奮を覚えた。

子供に翻弄されていく大人たち。みきおは軽やかに追求を交わし、またしても文吾に疑いがかけられていく(文吾がほんとうに可哀想)。最終回直前の第9回(3月15日放送)ではみきおに共犯者がいることがわかる。共犯者とは誰なのか……。登場人物のみならず、視聴者までもが最後までみきおに振り回されるのであった。

子役が魅力的だとドラマが盛り上がる例は枚挙に暇ない。キッズたちがテレビドラマの歴史を彩ってきた。昨今だと、朝ドラ「なつぞら」(2019 年、NHK)で広瀬すず演じるヒロインの子供時代を任された粟野咲莉。牧場で労働する彼女の健気な演技は視聴者を釘付けにした。現在放送中の「スカーレット」(2020年 NHK)では戸田恵梨香演じるヒロインの子供時代は川島夕空が演じ、その元気溌剌さがドラマを明るくした。後半、伊藤健太郎演じるヒロインの息子の幼少期を演じた中須翔真は澄んだ声が親思いの良い子にピッタリで視聴者の心を癒した。

朝ドラは子ども時代をもっと見たいという声も

高視聴率を獲得しスペシャルも制作されたドラマ「義母と娘のブルース」(2019年 TBS)の上白石萌歌演じる娘の子供時代を担当した横溝菜帆は、義母役の綾瀬はるかと血がつながっていないにもかかわらず強い母子愛を熱演、視聴者を大泣きさせた。大河ドラマ「麒麟がくる」(2020年 NHK)では徳川家康の子供時代・竹千代を演じる岩田琉聖が母を恋しく想いながら人質として忍耐している表情が堪らない。

一時期、朝ドラや大河は初期の子供時代がタイクツで成長した主人公のターンを早くはじめてほしいと言われていたことがあったが、最近は逆に子供時代をもっと見たいという声が出るようになってきているほどなのである。遡れば、社会現象になった「おしん」(1983年NHK)の子供編をしっかり演じ、国民に愛された小林綾子がいて、子供のターンがレジェンドになることだって起こり得るのである。

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