パワポ資料50枚より人を動かす「うまい伝え方」 結局、ジョブズのプレゼンは何がすごいのか

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例えば、スティーブ・ジョブズがiPhoneを発表する際の、有名なプレゼンがあります。

ジョブズはいきなり「今日は新しいスマートフォンであるiPhoneを発表します」とは言っていません。

「革命的な新製品を3つ発表します」と前置きし、「1つ目はワイド画面のiPod、2つ目は革命的携帯電話、3つ目は画期的なネット通信機器」と言います。それから、「これらは独立した3つの機器ではなく、1つの製品です」と伝えて、「名前はiPhone」だと明かします。

iPhone。つまりインターネット接続された電話機。

iPhoneは3つの革新的な機能を備えているのにもかかわらず、全機能を包含する名前ではなく、なぜただ1つの機能を抜き出してそれを名前に冠したのでしょうか? それは、3つの機能のうち、「電話機」が最も馴染みの深いプロダクトだからでしょう。

当時、iPod を使ったことがない人、そしてモバイルインターネットデバイスを使ったことがない人は先進国にもたくさんいました。しかし、電話機を使ったことがない人はほとんどいません。

したがって「電話機」である、として電話を参照フレームとしてマーケットに投入することで、革新的製品でありながらも、消費者が「自分にも関係のある製品である」「自分でも使いこなせそう」という気持ちになる可能性が高まることになります(図表13)。

〝何の仲間なのか〟を意識する

アップルは、こうしたネーミングの工夫を随所で行っています。例えば、iPodが発売されたばかりの時期は、GB(ギガビット)という言葉にそれほどなじみがありませんでした。そのころ他社は「自社の製品は10GB」と表現していましたが、Appleが用いたのは「1000曲があなたのポケットに」というフレーズ。

そのように伝えたほうが、よりダイレクトにユーザに価値が伝わります。また、Apple Storeのマニュアルには、すべてのコンピュータ用語を一般用語に言い換える、という指示があると言われており、以前はバグを「不具合」と言い換えていたと言います。

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