ダメ出しで「部下の心を折る上司」に欠けた視点 大事なのは「具体性」と「人格否定しない」こと

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日本人は直接的なダメ出しを嫌う傾向にあります。どうダメ出しするのが正解なのでしょうか? (写真:Fast&Slow/PIXTA)

どんな方でも仕事をする以上、日々一緒にいるチームメンバーに対してフィードバックすることは重要です。メンバーがやったことがよかったのか悪かったのかを振り返って伝えなければ、その後の改善につながりません。

過去の研究によると、集団主義傾向の強い日本の場合、互いのメンツを気にするため、ネガティブ・フィードバック(要は「ダメ出し」)よりもポジティブ・フィードバックのほうが機能しやすい傾向が見られたそうです。つまり、基本的には「褒めて伸ばす」ほうがよいということです。

しかし、ただ褒めるだけでは効果はありません。ある心理学の実験では、課題を解いている被験者Aグループに「すばらしいですね! このまま続けてください」と曖昧に褒めました。一方、被験者Bグループには「あなたは今いくつできていますよ、平均はいくつです」と正確で客観的な情報だけを与えました。すると、Bグループのほうがモチベーションが高まったとのことです。

この結果は具体性のないポジティブ・フィードバックを与えても納得感がないため、効果がないことを示唆しています。

「性格や能力」まで否定してはいけない

ポジティブなフィードバックだけで済ますことができれば、どれだけ楽なことでしょう。しかし、ダメなことを放置するわけにはいきませんので、結局ネガティブなことを伝えなくてはならない場合もあります。同時に、日本人にはネガティブ・フィードバックを嫌う人が多いので細心の注意が必要です。

ダメ出しをスムーズにするにはどうすればいいか。ポジティブ・フィードバックと同様、「客観的な事実」を伝えるのは重要です。しかも、ダメなところを「性格や能力」とするのでなく、その人の「行動」であるとするべきでしょう。前者では人格全否定と感じる人もおり、改善の前に心が折れてしまう可能性がありますから。そして問題が発生したら当人が忘れないうちにできるだけ早く伝えることも重要です。

また、ダメ出しの内容が厳しければ厳しいほど、する側とされる側の信頼関係や、日頃から密なコミュニケーションをしているかどうかが問われます。

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