受験生の息子が突然不登校になった親の"後悔" 今だからわかる親の寄り添い方

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山崎節子さんは、親として息子の話を聞いてあげる余裕を持てなかったことを、今でも心から後悔していると語った(写真:不登校新聞)
今号では、2月9日、千葉県習志野市で開かれた講演会・シンポジウム「不登校・ひきこもり~生きづらさに寄り添うには」の講演抄録を掲載する。主催はNPO法人「ネモ ちば不登校・ひきこもりネットワーク」。登壇者のなかから、保護者の山崎節子さんの講演抄録を掲載する。(編集・小熊広宣)

息子が不登校になったのは、中学3年生の秋でした。

あるとき「洗濯するからワイシャツを出して」と言っても無反応だったので息子の部屋に行ってみると、ワイシャツはきれいな状態のまま。

当記事は不登校新聞の提供記事です

「今日は学校へ行っていない」ということを息子の代わりに教えてくれました。

私は焦る気持ちを抑えきれず、「どうして休んだの? 明日は行きなさいよ」と、思ったことをそのまま息子にぶつけました。

何を聞いても答えない息子に対し「思春期だから仕方ない」というぐらいに考えていたんですが、思い出してみると、私が声を荒げてしまうこともありました。

息子にしてみれば、言いたいことはあったのかもしれません。でも、私の対応で、本心を言いづらい状況をつくってしまったんだろうと思います。

不登校の原因は学校でのいじめ

学校へ行かなくなった原因はいじめでした。息子の了解を得て携帯電話を見せてもらうと、友だちどうしのやりとりのなかに息子に対する心ないメールがありました。

私はこれが不登校の原因だと確信し、学校に相談しました。すぐに対応してくれ、先方の保護者からも謝罪を受けました。

でも、いじめはこれだけじゃなかったんです。クラス内や部活内で、いじめがいくつもあったことが後からわかりました。

部活で副主将を務めていた息子は「友だちから頼られないし、僕なんていなくていい」と言い、ふさぎ込んでしまうことが増えました。

息子は当時、他人の視線を気にして、外出する際はマスクを欠かしませんでした。お風呂に入れば長風呂で何時間も出てきません。

朝、学校へ行ったふりをして公園のベンチに座っていたところを先生に見つかり、学校へ連れて行かれたこともあります。このとき、息子の心は、ズタズタになっていたんだと思います。

でも、私はそのことに気づいてやれず、高校受験を控えた大事な時期だからと、息子を励まし、学校へ行くように言い続けてしまったんです。

「とにかく高校受験を乗り切らないと」という一心で、中学校には保健室登校をお願いし、私立高校の単願受験をして、卒業まで何とかして学校へ行かせ続けました。

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