コロナ感染拡大防止の備えが不十分と言える訳 今は下火だがインフルの脅威も看過できない

✎ 1〜 ✎ 36 ✎ 37 ✎ 38 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

インフルエンザA型と風邪ウイルスは、しばしば競合する。昨年12月にはフロリダ大学の研究者たちが、『米科学アカデミー紀要(PNAS)』にインフルエンザA型と、風邪ウイルスであるライノウイルスは相容れないと発表した。何れかが優勢になると、片方がなりをひそめる。通常はインフルエンザA型がライノウイルスを駆逐する。同様のことが、インフルエンザA型と風邪ウイルスのRSウイルスでも生じる事が知られている。

武漢では12月中旬から新型コロナウイルスのヒト-ヒト感染が起こっていたことがわかっている。日本では1月13日の週がインフルエンザのピークで、減少に転じている。例年より数週早い。新型コロナウイルスとインフルエンザA型が競合関係にあったのか検証が必要だ。

今年は欧米でのインフルエンザの流行状況も異様だった。2月15日の米疾病対策センター(CDC)の報告によれば、今シーズンのインフルエンザの推定感染者数は約2900万人で、入院した患者が28万人。死者は1万6000人だ。これは、近年では2017~2018年、2014~2015年につぐペースだ。

インフルエンザにはA型とB型という2つのタイプが存在する。例年、A型が約75%を占め、残りがB型だ。A型の流行期は通常12月から3月で、B型は2月から春先まで続く。

A型はヒト以外にトリやブタなど多くの動物に感染し、短期間で性質を変えるため、流行するタイプは季節毎に異なり、時に大流行を起こす。

一方、B型は山形系とビクトリア系の2系統で、A型のような沢山の亜型はない。ヒト以外にはアシカに感染し、ウイルスは変化しにくく、大流行は稀だ。

今シーズンはB型インフルが多い

今シーズンの特徴はB型が多いことだ。約30年ぶりにビクトリア系が早い時期から流行し始めた。当初、全体の60%をB型が占めた。最近になってA型が増加し、B型とほぼ同数になったが、例年よりB型が多いことは変わらない。なぜ、B型が多いか、その理由はわからない。

アメリカ在住の内科医である大西睦子氏は「理由の如何に関わらず、B型の流行はアメリカ社会に深刻な影響をもたらします」という。

それは子どもに被害を与えることだ。彼女は1月25日現在、12の州の学校区で学級閉鎖が実施されていることに注目する。

次ページこの傾向はアメリカだけではない
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事