コロナ感染拡大防止の備えが不十分と言える訳

今は下火だがインフルの脅威も看過できない

感染症の治療の基本は「早期診断、早期治療」が医学界の常識だ(写真:kazoka30/iStock)

新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。2月24日、政府は基本方針をとりまとめた。軽症者は原則として自宅待機となり、症状が変化した段階で相談センター、あるいはかかりつけ医に相談することとなった。いきなり医療機関を受診するのではなく、まずは電話での相談が勧められた。

相談の目安は、37.5度以上の発熱が4日(高齢者や持病がある場合は2日)以上続いたり、だるさや息苦しさが強かったりする場合だ。

そして、相談センターや医師が、新型コロナウイルス感染の可能性が高く、受診が必要と判断した場合には医療機関を受診する。患者数の増加に備え、一般医療機関も受け入れが可能になった。その場合には、外来時間や動線などを工夫して、一般患者と感染者が接触しないようにする。

インフルと感冒、臨床的にはまったく区別できない

ただ、私はこれを「机上の空論」だと考える。なぜなら、新型コロナウイルスと感冒は臨床的にはまったく区別できないからだ。クリニックの受診患者の多くは感冒だ。感冒と新型コロナウイルス感染患者の動線を区別することは遠隔診断をしない限り不可能だ。現在、厚労省は遠隔診断を規制している。

新型コロナウイルス感染の診断にはPCR法と呼ばれる遺伝子診断が欠かせないが、日本では「入院を要する肺炎患者の確定診断」の場合に限定されている。厚労省によれば、2月25日現在、PCRの実施数は国内事例1017人、チャーター便829人だけだ。同日現在、韓国では4万0304件が実施されている。

政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の副座長を務める尾身茂氏は「国内で感染が進行している現在、感染症を予防する政策の観点からは、全ての人にPCR検査をすることは、このウイルスの対策として有効ではありません。また、すでに産官学が懸命に努力していますが、設備や人員の制約のため、すべての人にPCR検査をすることはできません。急激な感染拡大に備え、限られたPCR検査の資源を、重症化のおそれがある方の検査のために集中させる必要があると考えます」と説明している。

次ページ韓国にできて、なぜ日本でできないか
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 非学歴エリートの熱血キャリア相談
  • スージー鈴木の「月間エンタメ大賞」
  • 今見るべきネット配信番組
  • 「お金で損しない」森永康平のマネーリテラシー講座
トレンドライブラリーAD
人気の動画
採用担当者が嘆く「印象の悪い就活生」の共通点
採用担当者が嘆く「印象の悪い就活生」の共通点
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
度数1%未満の「微アルコール」が広がる理由
度数1%未満の「微アルコール」が広がる理由
アメリカの若者の心つかむ中国アパレル「SHIEN」の正体
アメリカの若者の心つかむ中国アパレル「SHIEN」の正体
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
私大トップ校の次の戦略<br>早慶上理・MARCH・関関同立

受験生確保や偏差値で高い水準を誇る関東・関西のトップ私大13校。少子化や世界との競争といった課題に立ち向かうための「次の一手」とは。大きく揺れる受験動向や、偏差値や志願倍率と比べて就職のパフォーマンスが高い大学・学部なども検証します。

東洋経済education×ICT