新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。2月24日、政府は基本方針をとりまとめた。軽症者は原則として自宅待機となり、症状が変化した段階で相談センター、あるいはかかりつけ医に相談することとなった。いきなり医療機関を受診するのではなく、まずは電話での相談が勧められた。
相談の目安は、37.5度以上の発熱が4日(高齢者や持病がある場合は2日)以上続いたり、だるさや息苦しさが強かったりする場合だ。
そして、相談センターや医師が、新型コロナウイルス感染の可能性が高く、受診が必要と判断した場合には医療機関を受診する。患者数の増加に備え、一般医療機関も受け入れが可能になった。その場合には、外来時間や動線などを工夫して、一般患者と感染者が接触しないようにする。
インフルと感冒、臨床的にはまったく区別できない
ただ、私はこれを「机上の空論」だと考える。なぜなら、新型コロナウイルスと感冒は臨床的にはまったく区別できないからだ。クリニックの受診患者の多くは感冒だ。感冒と新型コロナウイルス感染患者の動線を区別することは遠隔診断をしない限り不可能だ。現在、厚労省は遠隔診断を規制している。
新型コロナウイルス感染の診断にはPCR法と呼ばれる遺伝子診断が欠かせないが、日本では「入院を要する肺炎患者の確定診断」の場合に限定されている。厚労省によれば、2月25日現在、PCRの実施数は国内事例1017人、チャーター便829人だけだ。同日現在、韓国では4万0304件が実施されている。
政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の副座長を務める尾身茂氏は「国内で感染が進行している現在、感染症を予防する政策の観点からは、全ての人にPCR検査をすることは、このウイルスの対策として有効ではありません。また、すでに産官学が懸命に努力していますが、設備や人員の制約のため、すべての人にPCR検査をすることはできません。急激な感染拡大に備え、限られたPCR検査の資源を、重症化のおそれがある方の検査のために集中させる必要があると考えます」と説明している。
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