私の著書『フランス人はママより女」にも書いていますが、フランスでは、結婚が減っていると同時に、1970年代から離婚も増えていて、離婚率は30%程度ですが、パリでは50%を超えています。だから再婚も多いし、結婚していないカップルが多いぶん、婚外子も多い。今は子どもの約60%が婚外子です。ただし、フランスでは法律上、婚外子も、嫡出子とまったく同じ権利を有しています。
結婚していようがしていまいが法律的メリットは変わらないのに加え、女性の経済的自立が進んだことも結婚が減っている理由の1つです。今のフランスには専業主婦というコンセプト自体なく、ほとんどの女性が仕事を持っている。経済的な理由で結婚するメリットはないわけです。というより、フランスの男女にとってお互いが自立して、社会の中で役割を持っていることは非常に重要で、そこがあって初めて恋愛関係が成り立ちます。
増える「複合家族」という存在
一方で、そもそも男女ともに「一生この人と一緒にいる」という感覚も日本人に比べると強くないかもしれません。それゆえに、結婚しなかったり、結婚しても離婚したり、再婚したり……とそれぞれが自分に合った生き方をしているわけです。
こうした中で増えているのが、「複合家族」の存在です。例えば、パートナーと離婚や同棲解消して、自分か相手、あるいは双方が新たな相手と子どもをもうけたり、その相手に連れ子がいた場合などは、「新しい家族」が増えるという認識です。フランスでは離婚をしても両親に親権が残るため、クリスマスなんかは子どもを軸に元両親と、その新しいパートナー、あるいはその子どもなどが一斉に集まってお祝いすることもあるわけです。
その時々の状況によっても変わってきますが、例えば離婚してパートナーがいない場合、ある1週間は1人で過ごし、ある1週間は子どもと2人で過ごし、またあるときは元パートナーの家族も交えて過ごすなど、「過ごし方」も多様化しています。大変に聞こえるかもしれませんが、実際にやっている人は自分1人の時間や子どもとの時間を一層大切にするようになった、と話しています。
子どもの側からすると両親が別れるのは複雑なものですが、それでも子どものために我慢しないほうがいいと思う。親も1人の人間だし、幸せを追求する権利がある。それに一緒にいたってけんかばかりでは、子どもとしても辛いものです。
もちろん、特に子どもがいる場合、離婚するという決断は簡単にはできないものです。社会やほかの人の目が気になったり、経済的な安定や孤独感、さらには目に見えない不安といったものもあるでしょう。
ですが、そういうときは自分に問いかけてください。本当に今のパートナーと一緒にいることが子どもにとって幸せなのかどうか。両親がいつもけんかしていて、不幸せで悲しそうな家にいることが子どもの幸せにつながるのか。愛も別れる勇気もない両親のもとにいるより、子どもを含めて全員が幸せになれるベストな別れ方を模索するほうが健全だと私は思います。
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