新型肺炎が大きく変える「就活・採用の在り方」 企業説明会の中止で「WEB面接」が急速に拡大

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一方の動画面接は、やはり地方や海外留学をしている就活生向けに取り入れられた。

SkypeやZoomを使ってリアルタイム面談をするケースが多いが、就活生に自己PR動画を作成してもらい、それを判断の材料として活用する企業もある。面接の模様を録画して評価判定時の参考にしたり、就活生には評判はよくないが、AIによる判定を取り入れたりする企業もある。

この新型コロナウイルスの問題を機に、この2つの手法が一気に広まっている。例えば、ネット広告代理大手のセプテーニは、すべての選考会や役員面接、人事面談をWEB開催に切り替えると発表。人材サービス大手のエン・ジャパンも自社の採用については、WEBで行うと公表している。

また、WEB面接サービスを展開する企業の中には、サービスを無料開放する動きも出ている。

リアル封じられ就活生は不安に

それでもリアルでの就活が封じられた学生にとっては、感染リスクは避けられるものの、就活における不安が増幅することになるだろう。

なぜなら、会社に赴いたり、実際に社員と会うことで就職先の雰囲気がつかめることが少なくないが、その機会が失われるからだ。また、就活生にしてみれば、エントリーシートや動画越しの印象だけで採否を判断されてしまうのは不本意だろう。

候補者が絞り込まれる選考の終盤では、会社での面接を開催するケースが増えると思われるが、社員に感染者を出した企業については、そうしたリアルな面接の機会すら限定される可能性がある。

また、就活ナビだけに頼った検索だけでは、本当に自分に合った企業を探すのは簡単ではない。現在は就活生に有利な売り手市場で、「逆求人」など企業からアプローチする採用が増えているが、自ら動かなければ、選択肢はアプローチしてきた企業だけになってしまう可能性もある。

そのため、これまで以上に、自ら企業を見つける努力をする必要があり、「企業からの連絡をチェックし、つねに動ける態勢を整えるのが重要」(谷出氏)になってくる。

今年の就活生は、新型コロナウイルスの終息が見通せない現状では、いずれしてもこれまでにない形の就活を強いられることになるだろう。

宇都宮 徹 東洋経済 記者

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うつのみや とおる / Toru Utsunomiya

週刊東洋経済編集長補佐。1974年生まれ。1996年専修大学経済学部卒業。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信の担当を経て『週刊東洋経済』編集部に。連載の編集担当から大学、マクロ経済、年末年始合併号(大予測号)などの特集を担当。記者としても農薬・肥料、鉄道、工作機械、人材業界などを担当する。会社四季報プロ500副編集長、就職四季報プラスワン編集長、週刊東洋経済副編集長などを経て、2023年4月から現職。

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