経済面では2019年10~12月の実質GDP成長率が5期ぶりの前期比マイナスに転落。全体的に停滞する欧州の中でも特に弱さが目立つ。そうした中、2月に入ってから17日の週までにイタリアの株式市場は約10%上昇していたが、2月24日の5.4%急落で一気に修正された格好だ。
感染が集中するイタリア北部、中でもミラノを州都とするロンバルディア州はイタリアのGDP全体の約22%、輸出額全体の約27%(2018年)を占めており、ロンバルディア州の動きはイタリア全体の景気動向を左右する。景気後退懸念が高まる中、イタリアの10年物国債利回りが上昇。利回りは依然1%程度と、かつてに比べればごく低水準とはいえ、財政・金融不安はくすぶったままであり、今後の展開は警戒を要する。
変調が見え始めてきたアメリカ経済
第2に、これまで先進国の中で「独り勝ち」と言われてきたアメリカ経済への不安だ。米大手証券のゴールドマン・サックスは2月23日、2020年1~3月期のアメリカの実質GDP成長率予想を前期比年率1.2%へと0.2%ポイント引き下げた。その主な理由が新型コロナの影響である。
ゴールドマン・サックスのエコノミストは今回、中国のサプライチェーン分断によるアメリカ企業の生産活動への影響を分析。今のところ大半の産業セクターで十分な在庫があるため、「中国国外における生産への影響は当面小さい」とした。ただ、これは3月末までに新規の感染者が大幅に減少するという基本シナリオを前提にしたもの。
そのため、「サプライチェーンの分断が4~6月期以降まで長引いた場合、減産実施を示唆する企業が増えており、リスクは明らかにダウンサイド(下方)にある」と指摘する。
また、2月21日にIHSマークイット社が発表した2月の米総合購買担当者指数(PMI)は前月比3.7ポイント低下の49.6となり、企業活動の縮小を示す50割れを2013年10月以来初めて記録した。サービス業のPMIが4.0ポイント低下し49.4となり、製造業も1.1ポイント悪化して50.8となった。2013年の悪化は米政府機関の一部閉鎖が原因となったが、今回は新型コロナウイルスに対する懸念が企業センチメントを押し下げた格好だ。
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