飲食店「店員同士の恋愛」が時に危険招く理由 準備不足の出店やひとりよがりも失敗要因
昨年10月の消費税増税以降、飲食業界ではそこかしこで怨嗟の声が上がっている。持ち帰りなら消費税率8%なのに、店内で飲食した場合には同10%と、店内飲食のほうが2%高い税率がかかるということで、飲食店を利用する人が減っている、というのだ。
一方で、そもそも新規出店のうち8割は5年以内に退店を迫られるという、シビアな事業環境におかれているのが飲食業界だ。逆に言えば、強い店舗はしっかり対策して生き残っていくに違いない。具体的には、いわゆる「中食(なかしょく)」、つまり店舗で買って持ち帰り、家庭で食べるような飲食スタイルへの柔軟な対応や、税率の差を意識させないほどのインパクトあるサービスの拡充などである。
そうしたフレキシブルな対応が取れなかったり、失敗の要因を組織内に抱え込んだままだったりする飲食店は、本当に容易に潰れてしまう。どんな弱点を持っているお店が潰れやすいのかを、いくつか実例を挙げて紹介してみよう。
出店前の事前準備が足りない店は危ない
特に危険なのは、出店にあたっての店舗コンセプトの作り込みや、市場の調査といった事前準備が足りていない店だ。
恥ずかしながら私自身の過去の失敗例を紹介すると、代官山のおしゃれすぎる駅前に出店した、3店目の直営店の例がある。
直営店1店目、2店目の出店に成功し、後から思えば「調子に乗っていた」私は、この店では過去の2店では綿密に作り込んでいた店舗コンセプトを、曖昧な状態のまま出店してしまった。
具体的には、1店目は「日本酒と塩の隠れ家居酒屋」、2店目は「味噌と黒糖焼酎の居酒屋」と、事前のコンセプト設定がはっきりしていたのに対し、3店目は「これまでの直営店を集大成した大型店」というもの。
料理メニューにはこだわり、看板料理なども新規開発していたものの、全体のコンセプトがいまいちよくわからなかったため、お客の反応はよくなかった。
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