それでも若き金融エリートが「香港」に残る理由 デモと新型肺炎「全く大きな問題ではない」

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一方、香港が「住みにくい」と言われる理由の1つが、とにかく高額な不動産だ。アメリカのCBREが世界35都市の住宅市場を調査した『グローバル・リビング・レポート2019』(2019年4月)によると、香港の平均住宅価格は123万5220ドル[1ドル110円として(以下同)約1億3580万円]で「世界一高い」。賃貸住宅についても、香港は1位のニューヨーク月2844ドル(31万2840円)、2位のアブダビ月2807ドル(30万8770円)に次ぐ第3位。平均して月に2777ドル(30万5470円)だ。

日本では最高税率の課税所得4000万円超えの高額所得者であれば、月に30万円どころか100万円の賃貸住宅に住んでなお、香港のほうが手元に残る金額が多いことになってしまう。

ウォールストリートで働くという選択肢

今回登場した3人の中には、アメリカの大学の学位を持っていたり、複数の国籍を保持していたりする人もいる。アメリカ国籍保持者であれば、NYのウォールストリートで働くという選択肢もある。事実、大学の同級生の中には、そのようなキャリアを選択した人も多いという。

しかし、ウォールストリートは時に、香港ほど「多様性」に寛容ではない、という。とくにアジア人にとってはなおさらだ。

エリカ:ヒラリー・クリントンが語ったように、アメリカには「ガラスの天井」があります。加えてウォールストリートには、昔ながらの「白人至上主義」が根強く存在することは否めません。私のようなアジア人女性であれば、天井が二重に存在する、と言っても過言ではないでしょう。現在の勤務先は、社内イベントのスピーカーであっても、性別や人種が偏らないように配慮してくれます。私にとってとても居心地がよいのです。

目下香港から離れるつもりはない、という彼らだが、香港と同じくアジアに位置し、所得税率もほぼ同じくらい低いシンガポールについてはどうだろうか。カイルによると、いくつかのヘッジファンドがすでに香港からシンガポールに拠点を移している。その理由は、主に従業員の福利厚生のためだという。

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