香港と日本、コロナに引き裂かれた家族の現実

「日本のほうが安全だと思っていたのに…」

平日の日中の香港の様子。学校の休校や公務員の在宅勤務の影響もあり人が少ない(筆者撮影)

新型コロナウイルスの流行に伴い、各国で出入国制限が強化されている。日本と香港間も例外ではないが、両地域間の特殊な事情に翻弄されている日本人は少なくない。中には、仕事や出産などの事情で一家の滞在拠点を分けているうちに検疫が強化され、再会のメドが立たない家族もいる。彼らの現状を取材した。

「日本のほうが安全だと思ったのに」

「香港から『避難』させたつもりでした。でも何か起こるかわかりませんね」

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幼稚園児の娘を持つ安藤栄一さん(仮名)は現在、香港でフィリピン人のヘルパーと2人で暮らしている。2月上旬に2人の子どもたちと妻の陽子さん(仮名)は、日本の陽子さんの実家に一時避難。上の娘は地元の幼稚園に臨時入園させることができたが、通えたのはわずか2週間ほど。感染者数が増えるとともに、日本国内の幼稚園や学校も閉鎖されてしまったからだ。

中国で発生した新型コロナウイルス。2019年12月末にWHOに報告され、中国大陸と陸続きの香港では1月25日に公衆衛生上の緊急事態を宣言。幼稚園から大学までの休校措置や公務員の在宅勤務、テーマパークなどの大規模施設の閉鎖などの措置をいち早く講じてきた(参考:『SARSの教訓活かす「香港」の新型肺炎の徹底対策』)。2月4日には、香港政府当局が中国本土との出入口を、2カ所を除いて閉鎖した。

日本と比べて、スピーディーな対策を打ち出しているかに見える香港。2002年から2003年にかけて広東省や香港を中心に8000人以上の感染者、700人以上の死者を出したSARSの教訓もある。

しかし2000年代初頭と2020年の現在で大きく異なるのは、中国の経済成長やLCCの発達などにより、人々がはるかに世界各国を移動するようになったことだ。とくに今回は、中国の人々が最も帰省や旅行で移動する春節(旧正月)と重なったこともタイミングが悪かった。

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