なぜ東芝の重要情報がライバルに漏れたのか 半導体で提携先の米サンディスク元社員が逮捕

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いずれにしても、データを抜き出せば足が付く可能性があるだけに、外部への持ち出しは難しそうだ。しかし、「基本的にセキュリティ対策は外部に対するもの。内部の従業員に甘く、データ管理は部門ごとに任されることが多い。抜け道はある。悪意があれば持ち出せる」と冒頭の電機メーカー元幹部は指摘する。

漏洩発覚の経緯

一方、韓国サムスン電子の管理は“身内”に対してもそうとう厳しい。日本の大手電機メーカーからサムスンへ転職した元技術者は、「部長以下の一般社員の場合、USBメモリの使用はいっさい禁止。ノートパソコンは持ち込みも持ち出しもできない。朝晩に金属探知機を用いた持ち物検査が行われる」と話す。コピー用紙にも番号が付与され、社外の人に渡せないようになっているという。

ただし、サムスンのようなセキュリティ体制が当たり前というわけではないようだ。「一般的にアジアメーカーの技術者は、セキュリティに対する意識が低い」と、韓国や台湾、中国のアジアメーカーとの接点が多い半導体技術者は指摘する。

東芝が1000億円の損害賠償請求を起こしたハイニックスは、完全な敵ではないのがポイントでもある。NANDフラッシュメモリで業界4位のハイニックスとは、「MRAM」と呼ばれる次世代メモリの開発で提携関係にあり、東芝から数十人の技術者が同社に駐在している。

今回の情報漏洩が発覚した経緯は不明だが、両者が共同作業をする中で、東芝の技術者が、ハイニックスには存在しないはずの「東芝だけが持つ研究データ」(=杉田容疑者が抜き出したデータ)を見つけたという可能性も考えられる。東芝は訴訟提起を発表したリリースの中で、機密情報が漏洩した疑義があり、調査を進めたところ、「看過できない不正の事実が発覚した」と説明している。

やむを得ない共闘態勢

重要な研究データの漏洩は別としても、情報流出をおそれて共同開発を止めるわけにもいかない。仮に東芝1社で半導体の研究開発から設備投資まで手がけるとなると、年間数千億円規模の投資が必要になる。

現在、世界の半導体メーカーの中で大規模投資を継続的に行えるのは、米インテルとサムスン、台湾TSMCの「半導体ビッグスリー」だけ。今や3社で世界の半導体設備投資額の6割超を占める。こうした巨人と闘うため、ほかのメーカーは共闘態勢を築くしかないのが実情だ。逆にいえば、提携先企業と手を組む上で、ある程度のデータ流出を覚悟する必要があるかもしれない。

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