あいまいな薄毛情報に惑わされると危険なワケ 薄毛や脱毛には複数の種類と理由がある

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では、薄毛・脱毛症の種類について、代表的なものの特徴を見ていきましょう。

【男性型脱毛症(AGA)】

薄毛の症状の中で、最も多いのがコレ。進行性の脱毛症で、日本人は20代後半以降に発症します。症状が表れるのは、頭頂部と前頭部。その片方の場合もあれば、両方の場合もあり、年々進行していきますが、側頭部と後頭部は毛がなくならないのが大きな特徴。原因は、男性ホルモンの影響でヘアサイクル(1本の毛が成長しはじめてから抜けるまでの周期)の成長期が短くなり、十分に成長しないまま脱落してしまうこと。詳しくは、次項以降で。

【円形脱毛症】

毛が円形に切り取られたように脱毛する疾患。ストレスなどによって発症する自己免疫性疾患の1つで、自身の細胞が毛包内の毛根を誤って攻撃することによって起きる症状。免疫細胞に攻撃されて弱ってしまい、栄養がいかなくなるために、毛根に近い部分に“くびれ”ができて、1本の毛の姿が「びっくりマーク(感嘆符)『!』」のように見えることも。アトピー性皮膚炎との関係も指摘されています。

亜鉛や鉄分が足りなくて脱毛することも

【老人性脱毛症】

加齢に伴って代謝が落ちることにより、頭髪が全体的に薄くなっていく症状。高齢による老化現象なので、疾患ではなく自然現象です。70代になって薄毛になってきたとしたら、このケースの可能性大。

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【亜鉛欠乏症に伴う脱毛症】

亜鉛が欠乏することによって起きる脱毛の症状。頭髪が全体的にまんべんなく薄くなっていくのが特徴です。現代において発症するのは乳児や高齢者がほとんどで、フツウに生活を送っている成人は、まずならないといっていいでしょう。

【鉄欠乏性貧血に伴う脱毛症】

鉄分が欠乏することによって起きる脱毛で、ほとんどが女性。というのも、月経の関係で貧血になりやすいから。過度なダイエットが関係していることもあります。男性で見られるとすれば、非常にまれなケース。

【炎症性脱毛症】

湿疹などで頭皮が極端に荒れることにより脱毛する疾患。頭皮にニキビが多い場合も、同様に毛が抜けます。これは、湿疹などにより毛根がショックを起こして、毛をつくろうとしなくなることが原因。

【瘢痕(はんこん)性脱毛症】

さまざまな原因で毛包が破壊され、瘢痕となって毛が再生できなくなる症状。毛包炎や皮膚炎、ケガ、ヤケドなどでも瘢痕性脱毛が起きることがあります。

【女性型脱毛症】

頭頂部を中心に薄毛が広がり、後頭部は毛が残るのが特徴。男性型脱毛症(AGA)のように完全に毛がなくなるわけではありませんが、1本1本の毛が細く短くなることで、全体的に薄くなります。かつては、男性型脱毛症と同じく男性ホルモンが影響していると考えられていましたが、現在は、別の病気という認識。ただし、原因ははっきりわかっていません。

そのほかに、薬剤や感染による脱毛症、外傷性の脱毛症、膠原病に伴う脱毛症などもあります。症状を見ただけでは判別が困難なものもあって、医師による正しい診断が大切です。

花房 火月 はなふさ皮膚科院長

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はなふさひづき / Hizuki Hanafusa

2006年東京大学医学部医学科卒業後、がん研有明病院や東京大学医学部附属病院、NTT東日本関東病院などでの研修を経て、東京大学医学部附属病院皮膚科・皮膚光線レーザー科・助教。2011年に三鷹はなふさ皮膚科を開設。その後、新座、国分寺、久我山、志木に。2020年2月には大宮院を開院。難治性の皮膚疾患をはじめ、薄毛、シミ・シワなどの美容皮膚科分野まで取り組む。

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