提出物の期限を破ると昇格・昇級に悪影響の訳 上司は大目に見ても、人事は厳しく処理する

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例えば、交通費精算の提出期限を破られると、総務や経理の社員がその対応のために残業をしなければならなくなったりします。提出書類に不備があれば、再提出を依頼しなければならず、処理にかかる手間や時間がさらに増えます。

また、請求書など他社に関わる書類の場合は、信用問題に発展することもあり、総務や経理といった管理部門の社員が連帯責任を取らされる場合もあります。

そのため管理部門では、提出物の期限遅延や書類の不備に対して非常にナーバスになっていることが多く、ストレスを抱えている社員も少なくありません。

人事は、社員全体のモチベーションを高めることが重要な仕事です。ほかの部署にストレスを与える、余計な残業をさせる、会社の信頼や経営にマイナスの影響を与えるなどの迷惑行為に対しては、厳しい措置を取らなくてはならないのです。

提出物の期限を破る、何度言っても提出しない、記入ミスが多い。こうした社員は、評価会議で必ず問題になります。たとえ人事が何も言わなくても、管理部門から「あの人どうにかなりませんか?」「すごく迷惑しています!」と大ブーイングが起きます。さらに「うちは苦労して期限を守らせているのに、そっちはどうなっているんだ!」と、ほかのまじめにやっている部署からもクレームが出ます。

となると、成績優秀で上司からは高く評価されている社員であっても、上司もかばいきれなくなり、社長や役員からも是正が入り、厳しい評価が下されるのです。

「行動」に問題があれば評価は低くなる

社員の評価は、業績だけで決まるわけではありません。「成果」と「行動」によって、総合的に判断されます。

業績がよければ「成果」の評価は高くなりますが、「行動」に問題があれば、全体的な評価は低くなります。「行動」を判断する基準は多岐に渡りますが、提出物の遅延や書類の不備は以下に該当します。

  ・会社のルールや規則を破る、約束・期限・時間を守らない
  ・人に対してストレスや不快感を与える
  ・謝らない、反省しない、自分の非を認めない
  ・周囲に協力せず、他者を助けない
  ・ケアレスミスが多い、現状を改善する工夫をしない
  ・状況を客観的にとらえず、主観的な理解にとどまっている

要は、自分のことしか考えていない、組織に不適格な人間と判断されるのです。

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