アメリカのオハイオ州立大学 獣医予防学の終身教授である王秋紅も、最近「中国科学報」のインタビューを受けたときに政府の介入を呼びかけている。彼女は、感染拡大が発生して以来、とても多くのデマが出現したことを指摘した。
ある者はウイルスが中国科学院武漢ウイルス研究所によって製造されたものだと言い、またある者はノースカロライナ大学チャペルヒル校のラルフ・バリック(Ralph Baric)実験施設から流出したもので、バリック実験施設ではかつてSARSウイルスをマウスに感染させる実験を進めていたと言っている。
「国が専門家チームを設立してデマを打ち消すことを切に希望しています」と、彼女は述べている。「現在、遺伝子配列がすでに公表されています。この配列の分析から、ウイルスが人工的に製造されたことを示す箇所は見つかりません。実験施設から流出したものである可能性はないのです。完全に自然界のウイルスです」
1月31日に『ネイチャー』が掲載した記事によると、大多数の研究者が、ウイルスの遺伝子配列は、新型コロナウイルスが武漢のウイルス研究所から来たものだという見方を否定している、と考えている。
新しい疾病やウイルスが出現するたびに言われる話
かつて石正麗と協力して研究を行ったピーター・ダザックは『ネイチャー』に次のように語っている。「新しい疾病やウイルスが出現するたびに、いつも同じようなことが言われます。これは某機関が放出もしくは流出させたものだ、もしくはゲノム編集を施されたウイルスだ、といった具合です。残念なことです」。
確かに、重大な感染病の発生にはいつも似たような陰謀論がつきまとう。例えば、2003年にSARSが蔓延していた時期、「SARSは人工的に製造された兵器だ」というデマが一時期盛んに取り沙汰された。2014年、エボラが西アフリカのギニア共和国などで爆発的に感染を拡大したときにも、アメリカ人がエボラウイルスを製造したというデマがあった。
マサチューセッツ工科大学政治学部の教授であるヴィピン・ナラン(Vipin Narang)は、最近Twitterで次のような意見を表明した。今回の感染拡大が生物兵器によるものであることを示す証拠はない、故意にこの種のデマを拡散するのは「まったくもって無責任」なことだ、と。
「実際のところ、(もし仮にこれが生物兵器だったとしたら)本当にお粗末な生物兵器です。なぜなら、自分も害を被るリスクがあるからです。いい生物兵器は致死率が高く、感染力が低いものでなければなりません」と、彼は述べている。
(財新記者: 楊睿、馮禹丁、趙今朝)
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