買収し、グループ化した工場の設備について驚きの活用法を編み出し、インパクトの強い商品を生み出した例も。
それがテレビなどでもおなじみの「牛乳パックデザート」(178~298円税抜)や「リッチチーズケーキ」(348円税抜)だ。前者は牛乳の、後者は豆腐の製造ラインを使って作られており、パッケージは牛乳や豆腐そのもの。いずれも女性開発担当者が発想したという。
とくに牛乳パックデザートは、「1リットルのようかんや杏仁豆腐をいったい誰が買うのか」と社内で議論になったそうだが、いざ発売してみたらYouTubeなどで取り上げられ大ヒット。
「とりあえずやってみなければわからないという風土がある」と、同社商品開発部部長の竹下厚二さんは話す。同社には、「豆腐屋で豆腐だけを作るな」という創業者・沼田昭二さんの言葉が浸透しており、13人の開発担当者たちは、安さだけではない驚きのある商品を意識して日々開発にあたっているという。
原材料も生産し、無駄なく使い切る
同社が原材料の生産も行っているのはご存じだろうか。群馬県と岡山県に直営・契約の養鶏場を持っているのだ。ここで育てた鶏を近くの自社グループ工場でさばいて加工し、当日か遅くとも翌日には一部店舗に届けている。
このチルド肉が「上州高原どり」(東日本エリア限定)と「吉備高原どり」(西日本エリア限定)のシリーズだ。例えばもも肉なら2kgで1500円(税抜)。新鮮な国産鶏を安価で買えると人気となっている。
さらにこの養鶏場経由で生産される原材料は、無駄なく使い切る。鶏肉をチキンカツなどさまざまな商品に加工するのはもちろん、鶏ガラもウインナーなどに混ぜている。定番人気の「徳用ウインナー」(1kg、460円税抜)が安い秘密はこうした製造システムにもあるのだ。
これら国内PB商品のほか、もう1つ大きなウリとなっているのが、輸入品だ。輸入先は約40カ国に上り、豊富なハラール商品など、ほかでは見つからない商品が多々ある。海外の約350の協力工場から商品を直接仕入れる形で中間マージンをカット。また、大きなコンテナにめいっぱい商品を積むことで輸送コストを下げるなどして低価格を実現している。
売り場を持っていることも強みだ。一般的なスーパーが個性的な商品の投入や大量輸入を行うと売れ残るリスクがあるが、同社は851店舗もの売り場があるため注文予測が立ち、過剰在庫や廃棄で悩むことが少ない。
ほかにも、効率化やコスト削減の話は尽きない。例えば、広告宣伝はウェブちらしのみ。製造ラインの自動化も早い時期から積極的に行ってきた。2016年に埼玉県に作ったパン工場でも、こねたパンのタネを型に入れる工程を自動化したという。
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